政治権力の概念と構造について論じなさい
社会は、人間の集合体であり、その集合体の秩序を保つために政治は存在している。人間には理性的な側面と非理性的な側面があり、人間社会を秩序づける原理も理性的な側面と非理性的な側面がある。理性的側面とは、近代デモクラシーの原理を構成している多数決の原理や討論の原理で、非理性的側面とは、伝統や慣習、宗教などである。政治的統一秩序を形成するとき、この両面が権力の中にあることで、重要な機能を果たすことになる。つまり、権力は人々を理性的に説得するという合理性と、人々に強制を与えるという非合理性を併せ持っていると考えられているのである。
C・E・メリアムは権力がもっている神秘的・非合理的な側面を権力のミランダと呼んだ。ミランダとは、「賞讃されるべき」という意味のラテン語で、政治権力におけるミランダとは、権力が理屈を抜きにして賞讃されるべき側面を示している。つまり、人々が権力に対して調和や美、荘厳のようなものを感じ、無意識のうちに聖なるものとして賞讃せざるを得ないような権力を指しているのである。古代国家では、権力はその背後に天使的な勢力や魔力があると信じられ...