日本の年功賃金の現状について、その歴史をふまえて論じて下さい
年功賃金とは、日本において終身雇用と企業内労働組合と共に日本的雇用制度の「三種の神器」とも言われるもので、年齢や勤務年数に応じて、平均的な賃金が上昇するシステムである。1901年の八幡製鉄所の設立により、熟練者の育成、技術力の定着を図るために、この年功給が導入された。戦後、46年に日本電気産業労働組合が電産型賃金体系を要求し、47年から実施された。これは、本人給と家族給を合わせた生活保障給(68.2%)と能力給(19.4%)、勤続給(3.7%)を加えたものを基本賃金(91.3%)とし、その上に地域給(8.7%)を加えて基準賃金とするものである。加えて、超過労働、特殊労働などの諸手当を基準外賃金として加えた。この生活年功給は、日本の資本主義において労働組合のもとで作成された唯一の賃金体系である。
しかし、1973年のオイルショック以降、日本の経済成長の失速により、生活年功給を維持することが困難になった。そこで、職能資格制度を基に個々の労働者を評価し、等級づけることで賃金が決定する職能給が主流になった。その後、1995年以...