手形の被偽造者の責任について論じなさい。
『商法<手形・小切手法>』(B10A)<課題 2> 教科書執筆者:高窪 利一
手形の被偽造者の責任について論じなさい。
1. 関 係 条 文 と 用 語 の 整 理
偽造とは、権限を持たない者が通貨や他人
名義の文書などをつくることをいう。手形の
偽造とは、署名(記名・捺印)の代行権限を
持たない者が、他人の署名を偽って、あたか
もその他人が手形行為をしたかのような外観
をつくり出すことである。
被偽造者は、原則として手形上の責任を負
わない。例外として、追認した場合や表見偽
造が成立する場合(民法109条、同法110条、同
法112条の類推適用、判例や通説も同様な立場)
などがある。偽造者の責任としては、手形法
8条類推適用(判例や学説多数説)により無
権代理人の責任は名義人法人が手形上の責任
を負うかのように表示したことによる担保責
任と捉える。また、不法行為責任(民法709条)
も 問 わ れ る 。
2. 被 偽 造 者 の 責 任
前項で述べたとおり、原則的には名義を偽
『商法<手形・小切手法>』(B10A)<課題 2> 教科書執筆者...