言葉の意味が脈絡によって異なる場合を、例をあげて説明しなさい。
言葉の意味が文脈によって異なる、とはどのような場合だろうか。まず文脈とは、文章の流れの中にある意味内容のつながりぐあい。多くは、文と文の論理的関係、語と語の意味的関連のなかにある。文章の筋道、文の脈絡のことである。この文脈のなかで発話に限って、言葉の意味が文脈によって異なる場合を説明する。発話とは、人が喋った言葉の、長めのポーズとポーズの間の部分をとりあげている。英語のutteranceという術語に対応する言葉である。
発話の意味を探る研究を、プラグマティックスという。ある人の発話をそのまま文字どおりに受け取るのではなく、話し手が本当に意図していることはなにかということを、その発話が含まれている談話や話し手と聞き手との関わり、さらに文化的要素まで考えて探る研究である。
プラグマティックスについて、エイチソン(J.Aitchison)は、その概説書『言語学』(Linguistics)のなかで、「文法的に中心となる部門」(=音声学・音韻論・統語論・意味論)の外側に位置し、言語的な(linguistic)知識だけでは分...