慶應大学通信教育学部・経済学部の保険学の評価合格のレポートです。設問 地震リスクの特性を保険可能性の観点から整理した上で、日本の地震保険制度の特徴と問題点を指摘しなさい。さらに、地震災害補償をめぐっての官民役割分担のあり方について論述しなさい
保険学
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第一章 地震リスクの特性と保険可能性
地震リスクの特徴としては、第一に、地震リスクは、他の保険で使われるリスクよりも発生頻度が少なく、地震の発生予測をするのが最先端の科学を用いても非常に困難であることが挙げられる。そのため、保険可能性の観点からみると、地震リスクを保険システムに組み込む際には、発生頻度が少ないので、大数の法則に基づいて確率を算出することができず、地震の発生確率を推測することが困難なために、保険事故発生確率を正確に設定することができない問題が発生する。また、保険は、事故発生確率を推測して、支払保険料と受取保険金の期待値を等しくする給付反対給付均等の原則から成り立っているので、事故発生確率を正確に推測できないことは、公正な保険取引が成立しないことになる。このような問題に対処するために、地震の確率を超長期における発生頻度によって算出するという方法も考えられるが、地震リスクは、時間とともに変化していくので、このような方法で地震リスクを算出すると、加入者の加入時期によって受取保険料の期待値や支払保険料が異なり、公平性を損なうという...