慶應大学通信教育学部・総合教育科目の文学の評価Bのレポートです。 設問 英米文学 19世紀あるいは20世紀に書かれた英国あるいは米国の小説を一冊選び、そこに描かれた「家族関係」「貧富」のいずれかを論じなさい。
文学
課題番号5
課題小説
アースキン・コールドウェル『タバコ・ロード』龍口直太郎訳、グーテンベルク21、2009年
タイトル
タバコ・ロード~ある貧乏白人の生活
タバコ・ロードの紹介と時代背景
『タバコ・ロード』とは、1932年にアメリカで出版されたアースキン・コールドウェルによって書かれた長編小説である。物語は、アメリカ南部農民の貧乏白人であるレスター一家と、そのレスター家の娘のパールを妻に持ったラブ・ベンシー、新興宗教の伝道師であるベッシーが繰り広げるさまざまな出来事を描いたものであり、それを通じて貧困層の悲惨な生活、時代の波に押されて廃れてしまった農業にこだわりつづける一人の農民の姿をユーモアを交えて生々しく描いている。作者は、作者の故郷であるジョージア州のピードモンド高原での荒れ果てた土地で不作に苦しむ人々から着眼を得て、この小説を執筆したので、いたるところに、現実性、真実味が散りばめられているのが、この作品の大きな特徴である。この小説の時代背景を見てみると、この小説が書かれた時代である1920~30年代のアメリカは...