2013年度 WE1020 法学2(日本国憲法) 1単位目 「1、憲法の意義と近代憲法の原則 2、憲法22条1項の居住・移転の自由と職業選択の自由
使用教科書:『法学』 北岡勲・児玉誠著(明星大学)
講評
1、憲法の2つの意義、近代憲法に共通する原則がよく指摘してある。
2、居住・移転・職業選択の自由の重要性と制約がよく示してある。
法学2 1
1.憲法の意義と近代憲法の原則について
まず、憲法とは英語でConstitution,ドイツ語ではverfassungといい、本来的な意味は「国家の統治組織」や「国家構造」である。それゆえ憲法とは広い意味では「国家の統治体制に関する基本法」である。日本では江戸時代後期から明治時代初期に、英語のConstitutionの概念がはいってきたときに、いかに翻訳するかが問題となった。最初は、原律・根本律令・国憲・憲法などと訳されていが、明治15年(1882年)憲法調べのため、ヨーロッパに伊藤博文を派遣する際、明治天皇が勅語の中で「憲法」という語を用いて以来、憲法という用語が公用語として定着したのである。また、古来より存在する憲法という語は、「公布された重要な法」とされ、「国家の統治体制に関する基本法」という意味はなかった。ここでいう憲法とは、国家統治の基本体制または根本的秩序を定める法規範のことを指し、実質的意義の憲法という。国家がある以上、必ず必要とされ、存在するのである。
しかし、近代において憲法は成文化され憲法典としてまとめられた。これを形式的意義の憲法という。しかし...