第二回添削用ファイルです。よろしくお願いします。
第三章 一票の格差問題について
第一節 はじめに
先生:さて、これから選挙の問題について話していきます。
まや:法案とか外交とかなんとかの問題はニュースとかでよく聞きますが、選挙自体に問題ってあるのですか?もしあるとすればその選挙は意味をなさなくなりませんか?
先生:そうですね。いくら選挙をしてもその選挙の制度に誤りがあればその選挙は意味をなしませんね
まや:そうですよね。もしもそうだとすれば日本は大変なことになるでしょう。
先生:しかし残念ながら・・・ありますよ。それもおそらくまやちゃんが想像するよりも多く・・
まや:そうなのですか。
先生:はい。ではこの章では日本の選挙制度で最も訴訟が行われている議員定数不均衡問題、通称「1票の格差」について説明していこうと思います。
まや:唐突に長い用語が出ましたね。急に難しくなっていませんか?
先生:大丈夫ですよ。ここで少し質問です。もしまやちゃんが知らない間にそこに住んでいるからというだけで他の県に住んでいる人間と格差があるとすればまやちゃんはどう思いますか?
まや:どこに住んでいてもそこが日本ならば皆一緒なのではないですか?
先生:残念ながらそうではありません。
まやちゃんの実家は鳥取でしたっけ?島根だったでしょうか?
まや:鳥取ですよ。
先生:ならばまやちゃんの1票の格差は最大で6.59倍にまでなりえるということになります。
まや:そんな馬鹿なことはないでしょう
先生:これを見てください。
画像ソース:http://www.nippon.com/ja/currents/d00150/
衆議院議員定数配分主要訴訟一覧
最高裁判決
最大較差 ×憲法の選挙権平等に反する ○反しない
期間の経過
×合理的期間を経験した○経過しない
結論
昭和51.4.14大法廷判決
1対4.99 ×
昭和39年7月2日の
法改正から、約8年 ×
違憲
昭和58.11.7大法廷判決
1対3.94 ×
昭和50年改正法の
施行日(昭和51.12.5)から、約3年半 ○
合憲
昭和60.7.17大法廷判決
1対4.40 ×
具体的期間の言及なし ×
違憲
昭和63.10.21判決
1対2.92 ○
合憲
平成5.1.20大法廷判決
1対3.18 ×
昭和61年改正法の
施行日(昭和61.7.6)
から、約3年7ヶ月 ○
合憲
平成7.6.8判決
1対2.82 ○
合憲
平成11.11.10大法廷判決
1対2.309 ○
合憲
平成19.6.13大法廷判決
1対2.171 ○
合憲
平成23.3.23大法廷判決
1対2.304
×(*)
平成19.6.13大法廷判決から、約3年9ヶ月 ○
合憲
衆議院議員定数配分主要訴訟一覧
最高裁判決
最大較差 ×憲法の選挙権平等に反する ○反しない
期間の経過
×合理的期間を経験した○経過しない
結論
昭和51.4.14大法廷判決
1対4.99 ×
昭和39年7月2日の
法改正から、約8年 ×
違憲
昭和58.11.7大法廷判決
1対3.94 ×
昭和50年改正法の
施行日(昭和51.12.5)から、約3年半 ○
合憲
昭和60.7.17大法廷判決
1対4.40 ×
具体的期間の言及なし ×
違憲
昭和63.10.21判決
1対2.92 ○
合憲
平成5.1.20大法廷判決
1対3.18 ×
昭和61年改正法の
施行日(昭和61.7.6)
から、約3年7ヶ月 ○
合憲
平成7.6.8判決
1対2.82 ○
合憲
平成11.11.10大法廷判決
1対2.309 ○
合憲
平成19.6.13大法廷判決
1対2.171 ○
合憲
平成23.3.23大法廷判決
1対2.304
×(*)
平成19.6.13大法廷判決から、約3年9ヶ月 ○
合憲
参議院議員定数配分主要訴訟一覧
最高裁判決
最大較差 ×憲法の選挙権平等の要求に反する ○反しない
期間の経過 ×合理的期間を経験した○経過しない
結論
昭和39.2.5大法廷判決
1対4.09 ○
合憲
昭和58.4.27大法廷判決
1対5.26 ○
合憲
平成8.9.11大法廷判決
1対6.59 ×
昭和61.7.6の
通常選挙から、約6年 昭和63.10.21
第二小法廷判決から、
約4年
○
合憲
平成10.9.2大法廷判決
1対4.81 ○
合憲
平成12.9.6大法廷判決
1対4.98 ○
合憲
平成16.1.14大法廷判決
1対5.06 ○
合憲
平成18.10.4大法廷判決
1対5.13 ○
合憲
平成21.9.30大法廷判決
1対4.86 ○
合憲
平成24.10.17大法廷判決
1対5.00 ×
平成21.9.30大法廷判決から、約9ヶ月 ○
合憲
平成26.11.26大法廷判決
1対4.77 ×
平成24.10.17大法廷判決から、約9カ月 ○
合憲
参議院議員定数配分主要訴訟一覧
最高裁判決
最大較差 ×憲法の選挙権平等の要求に反する ○反しない
期間の経過 ×合理的期間を経験した○経過しない
結論
昭和39.2.5大法廷判決
1対4.09 ○
合憲
昭和58.4.27大法廷判決
1対5.26 ○
合憲
平成8.9.11大法廷判決
1対6.59 ×
昭和61.7.6の
通常選挙から、約6年 昭和63.10.21
第二小法廷判決から、
約4年
○
合憲
平成10.9.2大法廷判決
1対4.81 ○
合憲
平成12.9.6大法廷判決
1対4.98 ○
合憲
平成16.1.14大法廷判決
1対5.06 ○
合憲
平成18.10.4大法廷判決
1対5.13 ○
合憲
平成21.9.30大法廷判決
1対4.86 ○
合憲
平成24.10.17大法廷判決
1対5.00 ×
平成21.9.30大法廷判決から、約9ヶ月 ○
合憲
平成26.11.26大法廷判決
1対4.77 ×
平成24.10.17大法廷判決から、約9カ月 ○
合憲
まや:なんですかこれは?
先生:これは今まで行われてきた議員定数不均衡訴訟
つまり、選挙で決める議員数に関する裁判の主なものです。
まや:この数字は何ですか?
1対2.82や1対4.99と・・・
先生:最大較差です
簡単に言えば選挙での1票あたりの価値の格差です。
この国を実質動かす議員は国民が決めます。
何で決めるかはわかりますね?
まや:選挙です。
先生:そうです
もっと単純に言えば多数決です。
多数決という方式をとるからには、参加している人皆に同じ力を与えないと平等ではありません。
まや:それは知っています。
「法の下の平等」ですね
みんな平等でなければならないといったものです。
憲法14条
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において差別されない。
憲法14条
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において差別されない。
先生:日本国憲法14条ですね。
加えて、15条で公務員の選挙や普通選挙・秘密選挙が、43条でも両議院は全国民によって選出されるという記述があります。
そのように制定されているにもかかわらず、実際には1人1票以上持つ人間がいます。
憲法15条
1項 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
3項 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
4項 すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任は問はれない。
憲法43条
1項 両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。
2項 両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。
まや:それはとてもおかしいです。
金の力や権力の力がはたらいているのでしょうか?
先生:いいえ。どちらも違います。
住んでるところです。
特定の地域に住んでいれば、それだけで1人1票以上の価値になります。
しかもその地域は1つや2つではなく、56か所あります。
まや:それはおかしいです。
先生:おかしいですね
なのでこれだけ選挙のたびに何度も裁判がされているのです。
まや:ということはいつまでたっても治らないということですか?
この表だけでも1番古いのは昭和51年とありますが・・・・
先生:そうですね。
それだけの間、気づいていないうちに不平等な目にあわされてきたのです。
まや:気づいて嬉しいのか嬉しくないのか峻別がつきません。
先生:次に、ここからは実際に行われた訴訟をもとに見ていきましょう。
まや:難しい気がします。
先生:そんなに身構えることないですよ。一票の格差について勉強するにあたってそもそもこの一票の格差が問題視されるようになった発端は知っていますか。
まや:まったく知らないです。
先生:では軽く説明しましょう。
第二節 議員定数不均衡問題重要判例
1960年代の日本、当時は経済の高度成長が起きており、それとともに都市への人口集中、そして地方の過疎化が劇的に進んでいました。結果、第二次世界大戦直後の人口分布に基づく選挙区割りにより、選挙区ごとの人口に大きな格差が生じてしまったわけです。しかし、国...