2015年日大通信秋期夜間スクーリング刑法IIの最終試験問題とその解答例です。(合格済み)
2015 年秋期夜間スクーリング
刑法 II(刑法各論)試験問題と解答
全 3 問解答すること。
小問(1) 財産罪における財物の意義について具体例を挙げつつ説明せよ。
参照:通信テキスト 123 頁
キーワード:
有体物説
管理可能性説
交換価値(金銭価値)
消極的価値
【解答】
第一 財物の意義
財物とは、所有権の対象となるだけでなく、一定の財産価値を要するものでなくてはならな
い。しかし、そこでは、客観的価値のみならず、客観的な交換価値を有しない主観的価値も考
慮されるべきである(東京高裁判昭 28.9.18)
。したがって、古いラブレターや、旅行先で拾
った小石なども、主観的価値が認められる限り財物にあたる。
第二 財物は有体物に限るか
民法 85 条は、物を有体物と定義するが、財物とはこれに限られる(有体性説)のか。ま
ず、エネルギーを盗用する者を取り締まる必要があるから、管理可能な物は財物とすることが
考えられる(管理可能性説)
。このことは、電気を財物としている(刑法 245 条)ことからも
窺われる。しかし、財物が物という概念から乖...