労働法の合格レポートになります。
こちらは合格レポート集には収録されていないレポートとなります。
労働法(J)
1.問題の所在
本レポートでは労働協約の不利益変更の可否について検討を加える。
そもそも労働協約には規範的効力というものがあった。これは、労働協約で定められている労働条件およびその他労働者の待遇に関する基準について、労働契約において違反している部分は無効となり、また、この無効となった部分は労働協約の基準の定めるところになる効力である(労働組合法16条)。そしてこの規範的効力がいかなる場合に適応されるかが問題となる。
これにつきまず第一の論点として、労働契約(就業規則)の内容が労働協約よりも有利であった場合にも、労働協約の規範的効力は及ぶのかという点が挙げられる。いわゆる有利原則の問題である。
また第二の論点として、新たな労働協約が労働者にとり不利益な内容となっていても、その規範的効力は及ぶのかという問題である。
さらに労働協約の適用範囲は、大きく分けて二つに分けることができた。すなわち原則としては、労働協約とはこれを締結した組合の組合員にのみ適応されるものであり(労働組合法16条)、他方で一定の要件を満たすことにより、一般的拘束力として、組合員以外の労働者...