慶應通信の刑法各論のレポートです。
このレポートでは事例に即してけ業務執行妨害や住居侵入罪の可否について論じています。
事例問題の解法の理解や業務執行妨害、住居侵入罪における論点の整理に最適です。
※このレポートは以下のレポートに収録されているものと同じ内容です。
慶応義塾大学法学部(通信)合格レポート集
http://www.happycampus.co.jp/docs/938478183489@hc15/122970/
■刑法各論
1.
甲の都営地下鉄駅員Aに対する暴行によって公務執行妨害罪(刑法95条1項)は成立するか。ここで問題になることは、都営地下鉄駅員の公務が、同罪の「職務」に該当するか否かである。
これについては、まず一切の公務が公務執行妨害として保護され、そのうち非権力的公務・妨害排除能力のない権力的公務を「業務」として業務妨害罪(刑法233条、234条)でも保護されるという限定積極説がある。またその反対説として、権力的公務・非現業的公務・非私企業的公務といったものを公務執行妨害罪の保護下とし、非権力的公務・私企業的公務は業務妨害罪だけで保護されるという公務振分説の見解がある。
限定積極説を採れば甲の行為は公務執行妨害と業務妨害罪の両罪で刑事責任を問われることになり、公務振分説をとれば傷害罪(刑法204条)と業務妨害罪が成立すると考えられよう。
たしかに暴行の対象が私鉄駅員か都営地下鉄駅員かによって刑事責任が変わることや、都営地下鉄駅員のほうが二重の保護を受けるという点で、限定積極説は均衡を失しているように見える。しかし都営地下鉄駅員の職務は税金より賄われていること、また民...