「日本文学概論」の第2設題です。レポートはB判定、試験は85点で合格しました。参考になれば、うれしいです。
芥川龍之介の『鼻』を読み、出典と比較して論ぜよ。
○芥川龍之介と『鼻』について
一八九二年、東京下町に生まれる。東京大学在学中から、雑誌『新思潮』に作品を発表し、日本人にはめずらしい西洋コントの手法をもち、短編小説家として出発した。理知主義と呼ばれるその作風は、人間の内面にある善と悪を深く掘り下げ、知識と理性を重んじた技巧的な文学を造形している。
『鼻』は、夏目漱石の激賞を受け、文壇にも認められた出世作である。ゴオリキーの『鼻』にヒントを得て、『今昔物語集』と『宇治拾遺物語』から取材した王朝物の一つで、鼻の長い高僧とその周囲の人々の微妙な心理の変化を描いた作品である。芥川の鋭い目は、内供にも周囲の人々にも同じように意地悪く注がれている。同じような系列の歴史物には、『羅生門』『芋粥』『地獄変』などがある。
キリシタン物、江戸物、中国物など、多くの作品を書いた後、保吉物などの現代小説に転じたが、健康の衰えと社会の新しい思潮に抗い切れず、三十五歳で自ら命を絶ち、亡くなった。
○『鼻』あらすじ
池の尾(現在の京都府宇治市池尾)の僧である禅智内供(ぜんちないぐ)は、五、六寸(約15~18センチ)...