慶應通信法学部科目の民法総論(制限行為能力者制度と時効制度について)の合格レポートです。
民法総論
はじめに
民法は総則、物権、債権、親族、相続の5編から成る法典であるが、このなかでも総則は民法全体に関する共通規則を規定している。人は生まれながらにして社会生活を営む力(権利能力)を有するとされ、意思表示により法律行為を行うものとされているが、法律行為を行う能力(行為能力)が十分でない者を保護するための制度や、人の一生は有限であることから、時間的な限度を規定する時効制度などが定められている。
本レポートでは、制限能力者制度と時効制度について述べ、民法総則における重点を明らかにしたいと思う。なお、本レポートで法律名を示さずに条文番号のみを記述する場合は、民法の条文であるとする。
制限行為能力者制度について
同制度が設けられている理由
民法の3大原則のひとつとして、一般的に私的自治の原則(契約自由の原則)があげられるように、民法は自由に形成された個々人の意思による社会生活の営みを重視している。しかし、自由に形成された個々人の意思により法律的な関係を作るためには、当事者が自ら意思決定できる能力(意思能力)を有することが必要不可欠である。そのため、精神上の障害により正常...