2016年度A評価です。参考程度にどうぞ。
科目コード:07801 「教師論」 第一分冊
教職には、大きく3つの観点が存在する。それは「聖職者」、「労働者」、「専門職」である。以下ではこの3つについて説明していく。
まず「聖職者」とは、教員を「聖職」とすることだ。しかし今日の学生が教員採用試験に合格し、赴任し、その日から「聖職者」となることを指しているのではない。教員は人格者としての聖職者を目指すべきであるという考えである。
教師が聖職者と呼ばれるようになった根拠は、戦前の「天皇」と「教育勅語」にある。教育勅語とは、我が国の戦前の教育上の根本理念を示した詔勅である。この教育勅語は天皇からの勅語、つまり神聖な天子からの詔を意味した。そのため、この教育勅語を学校において実践する教師は、天皇のお告げを実践する聖なる職業として、「聖職」であるという考えである。
教育勅語には「有徳な日を育てる」という概念がある。つまり「徳」のある人間を育てるためには教師自身が「徳」のある人間を目指さなければならない。しかし徳のある人間というのは具体的に何を表すのか。その具体的な答えはない。なぜなら人間に完全なものはなく、常に不完全性を伴っているから...