評価Aレポートです。
哲学
アリストテレスとカントのそれぞれの倫理説を比較して述べなさい。
アリストテレスは幸福を究極の目的と捉え、その目的に即した行為を善と捉えた。このためアリストテレスの倫理観は「目的論的」と言われる。これに対しカントは実践理性批判の中で人間の倫理観について、アリストテレス以来の思想とは異なる考え「義務論」を提唱した。彼は「定言命法」を定め、それに従うという「義務」を遂行すること、それこそが「善(善い行い)」である、と主張した。本問では、アリストテレスとカントのそれぞれの倫理観を考察し述べる。
アリストテレスの倫理学では、どの存在者も自然本性からして自己に固有の善を追及し、この善の中で自己の完成を遂げるとされる。アリストテレスの考える善は個別的なものであった。そしてすべての人間が同じ権利を持っているとは考えていなかった。
女性や奴隷や非ギリシア人は根本的な理性が欠如しており、普通のギリシア人と同等の権利を持ちえないと考えていた。それゆえアリストテレスの考える幸福は選別的であり、普遍主義の欠如がみられる。アリストテレスによれば、人間にとっての善は理性に従った魂の活動であり、この活動の...