年収200万以下で働く人々のことを『ワーキングプア(働く貧困層)』と呼びます。最近では、若者だけでなく中高年世代にも増えてきており、一度ワーキングプアの状況に陥ると、抜け出すのはなかなか難しいと言われています。また、ワーキングプアの増加により、日本の福祉(社会保障制度)は崩壊しつつあると言えるでしょう。
このレポートは、そんなワーキングプアの現状と、日本の福祉の今後についてまとめたものになります。
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『ワーキングプアの現状と福祉の今後について考える。』
現在の日本の社会問題の1つに、「ワーキングプア」という問題がある。近頃テレビや雑誌などで頻繁に特集が組まれ、この言葉を耳にし目にする機会がかなり増えたように思われる。ワーキングプアは「働く貧困層」と呼ばれる新たな階層集団のことであり、所得格差がじわじわと拡大するなか、低所得層のなかから現れるようになってきた。
ワーキングプアという言葉は、1990年代に米国で生まれた。エコノミストの門倉貴史氏は、著書『ワーキングプア~いくら働いても報われない時代が来る~』のなかで、「『ワーキングプア』とは、汗水たらして一生懸命働いているのに、いつまでたっても生活保護水準の暮らしから脱却できない人たちのことをさす。…働いているのに年間収入が200万円に満たない人たちを便宜的に『ワーキングプア』と呼ぶことにしたい。」(門倉貴史,2007,p.18)と定義している。
世界で最も豊かな国といわれる米国には、約3700万人のワーキングプアと呼ばれる人たちが存在し、貧困にあえいでいる。日本においてのワーキングプア層の数は約550万人(2005年で約546万人)...