ウェーバーの宗教社会学研究は
何をねらいとしてなされたのか、説明せよ。
ウェーバー(Max Weber 1864-1920)は1913年の『ロゴス』誌に「理解社会学の若干のカテゴリー」を発表した。「ロッシャーとクニース」にはじまる一連の批判的考察をふまえながら、一方で理解社会学と心理学との区別を、他方では法教義学との区分を試みた。さらに、理解社会学を構成する諸カテゴリーについても論じている。「国家」「国民」「封建制」といった集合的カテゴリーを、当事者たちの「理解可能な行為」へと還元することによって説明していこうとする、彼の社会学的立場である「理解社会学」が、この論稿においてはじめて積極的に表明され定式化された。
しかし、この論稿はもともとパウル・ジーベック社から編集を依頼されていた『社会経済学綱要』のために執筆されていた草稿であり、それを一部他から切り離し加筆修正したものであった。これは、当時の社会政策学会に欠けていた「価値判断から自由な学問的な仕事と検討の場」を創り出すという趣旨のもとに成立されたドイツ社会学会でさえ、学問に価値判断を浸透させた議論によって支配されるようになってい...