アメリカにおいておし進められてきた「新自由主義」政策が「貧困大国」を生み出した実態について、災害、医療、教育、戦争という「人のいのち」にかかわる四つの領域のどれかひとつの領域を選んで、その実態を詳しくつかみ、重要なことを整理してみよ。
戦争の領域について
1970年代初頭、企業と高額所得者から税金を多く集め、その所得を教育や医療、福祉制度によって中間層に再分配するという第37代ニクソン大統領の社会保障政策は、不況におけるインフレを招いていた。それを打開するために登場したのが「新自由主義」である。第40代ロナルド・レーガン大統領は、「強いアメリカ」の復活を唱え、当時のイギリスのサッチャー政権とともに「新自由主義」を掲げた。具体的には、大企業の競争力を高めることで経済を上向かせることを目的に、効率重視の市場主義を基盤にした政策を打ち出し、企業に対する規制の撤廃や緩和、法人税の引き下げをおこなった。また逆に、労働者側には厳しい政策を許し、社会保障を削減していくなど、アメリカの社会構造を大きく変えていった。しかしその結果、安価な海外諸国の労働力に負けた国内の製造業は、みるみる力を失い、労働者...