中央大学 法学部 通信教育課程 2016年度 民法1(総則)
第2及び第3課題の合格レポートセットになります。
2016年度 第2課題
未成年者の行為能力につき論じなさい。
(1)行為能力制度の制度趣旨
今日の契約社会においては、私的自治の原則から個人の自由な意思で契約を
締結することができる。しかし、契約締結によって生じる利害得失を理解でき
ないような意思能力を欠く者(意思無能力者)がした契約は無効となる。
ここで、意思無能力者が自らした契約を無効とするために、自身が意思無能
力者であることを証明するのは困難であるし、一方で、契約の相手方も後で意
思無能力であることを理由に契約が無効となると不足の不利益を被る。
そこで、意思能力の存否を客観的に判断するのは難しいので、民法では、本
人の保護と取引の安全の観点から、形式的な基準による行為能力制度を設けた。
ここで、行為能力とは、法律行為を単独でできる能力をいう。その行為能力
を欠く制限能力者として民法では4つ(未成年者、成年被後見人、被保佐人、
被補助人)を類型化した上で(民法20条1項)、各類型ごとに後見役(親権者
または未成年後見人、成年後見人、補佐人、補助人)を設ける。
以下、未成年者の要件、未成年者の法定代理人、未成年者の行為能力の原則
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