Z1115 道徳教育の研究
道徳とは、「ある社会で人々がそれによって善悪正邪を判断し、正しく行動するための規範の総体。法律とは違い、外的強制力としてではなく個々人の内面的原理として働くものをいい、また宗教と異なって超越者としての関係ではなく人間相互の関係を規定するもの。」「人のふみ行うべき道。ある社会で、その成員の社会に対する、あるいは成員相互間の行為を規制するものとして一般に承認されている規範の総体。法律のような外面的強制力を伴うものでなく、個人の内面的なもの」というように、広辞苑や大辞林では記されている。つまり、道徳とは法律によって拘束はされないが、人の内面に存在する人間としての生きる道を示すものである。しかし、日高六郎は「道徳は社会規範の一つ」であり、社会的に是認されるべきであり、ある程度の強制は必要だと述べている。そのため、道徳には個人の自発性に支えられている部分と、社会から強制されている部分の二つがある。日高の考えによれば、道徳は社会の変化に対応した新しい価値観が生まれた時、保守的な作用を果たし、時に時代に逆行することもある。このように道徳は社会や時代の中で、人々の規範の総...