患者の全体像を理解し、思いを尊重する看護
今回の成人看護学実習Ⅱでは、肝硬変により、腹水・浮腫・掻痒感が生じている50代男性患者を受け持った。患者は、入院前には食に関わる仕事をしており食通として飲食を楽しむ方であったが、それが入院により阻害されていた。実習1日目では、苦痛を訴えることはあまりなく、「病気だからって沈んでいると、余計悪くなってしまうと思うから。病は気からって言うでしょ。」と笑顔で話す姿が見られた。しかし、1週目には、訪室すると、腹水増大により呼吸困難感を感じていたため笑顔がなく目を閉じ眉間を寄せて苦痛の表情を浮かべていた。患者は普段から苦痛を訴えることは少ない方であったが、1週目で腹水により呼吸困難感まで出現した状態では、目の前の苦痛を訴えざるを得ない状態であった。患者は「痛みがなく過ごせていた以前はどれだけ貴重な日々だったんだろうと思う。」という発言があった。2週目には状態が悪化し、呼吸困難感が生じ、「話すことも苦痛。」という発言があった。
患者には、毎日面会に来られる妻の存在があった。患者とも談笑する姿も多く見られ、妻は「今まで仕事の都合ですれ違っていた。最近は一緒...