科目コード07803「人間の発達と学習」第1分冊
子どもの自我の(自己)の発達には環境が大きく影響するという研究者もいれば、遺伝が大きく影響を与えるという研究者もいる。また、環境と遺伝の相互作用によって発達すると述べる研究者もいる。そこで、私はそれぞれの研究者が調査や実験をする中で証明されたことを述べていくことで、その関係性から子どもの指導の在り方について考察していくことにする。
まず20世紀半ばに実施されたスピッツやボルヴィの調査について紹介したいと思う。彼らは乳幼児期の発達環境が通常の生育環境のもつ条件を著しく欠いている場合、その時期の発達に重要な影響を与え、さらにその環境が改善されない場合には弊害が後の発達にまで及ぶことが明らかにされていることがわかったのである。具体的には、孤児院などの施設で養育される子どもは、一般の家庭で育つ子どもと比べて、身体的な発達や情緒の発達に遅れや障害があるという結果である。これは、施設の人手不足からなる日常的な養育行動の欠如が根本的な原因であるとされる。これにより、母性的養育の剥奪・喪失の問題として捉えられるようになった。よって、通常、母親(...