採点は、満点のレポートです。
わが国では、明治初期まで病者の生活は法律や制度で取り締まられることなく、家族の世話にまかされていたため治療を受けることができず、自宅の座敷牢などに監禁されていた。精神衛生行政が動き始めたのは、1873年の「医制」の発布からになる。わが国で精神障害者を保護する全国的規則として、最初の法律の制定は、1900年の精神病者監護法である。ここでは、精神病者を監禁していた状況を改め、監護義務者以外は不当な監禁を行えないよう明確に規定し、病者の保護を考慮したものと考えられるが、自宅での私宅監置を認めていたことは、医療保護の面を考えると十分とは言えなかった。明治時代後半に近代国家としての体制が整い、衛生行政面でも新しい段階に入り、精神障害者への政策は監護から医療保護を目的としたものへと変化した。こうした状況の中で、1919年精神病院法が成立した。主な内容は「精神病者の家族のみに処遇の責任と義務を負わせることなく、公立精神病院を設置し病者の処遇にあたること」があげられるが、実際には、公立病院の建設は予算不足で8か所に留まった。しかし、精神病者の処遇が入院しか考えられなかった時代に、公立病院を設置するとい...