佛教大学 M6104 日本文学概論 第2設題 2016年度合格済みです。よろしければ参考までにお使いください。
芥川龍之介の『鼻』を読み、出典と比較して論ぜよ。
本レポートでは芥川龍之介が書いた『鼻』と、その出典である『今昔物語』巻第二十八の「池尾禅珎内供鼻語第二十」を比較し、両者の違いについて論じていきたい。
まず、『鼻』のあらすじをみていくこととする。
『鼻』の主人公は禅智内供という徳の高い坊である。内供の鼻は異常なほど長く伸びており、彼は自身の長い鼻に劣等感を抱いていた。近所でもその長い鼻は有名であり、内供は自身の鼻に思い悩んでいるということを周囲に悟られないように暮らしていた。内供は鼻を短くする方法はないかと色々と試していたが、そのいずれも効果がみられなかった。
ある日、内供の弟子が鼻を小さくする方法を聞いてきて、それを内供に伝えた。その方法とは熱湯で鼻を温めてもむというものであった。内供はさっそくその方法を試すことにした。そしてその結果、本当に鼻が小さくなったのである。これでもう笑われることはないと内供は喜んだ。しかし人々は今度は小さくなった鼻をみて笑ったのである。内供はこのことから人間の利己的ともいえる側面に気づくのであった。鼻はやがてもとの長さに戻り、内供は、こうなればもう笑...