(2020)慶應通信経済学部専門科目「会計学」で合格をいただいたレポートです。静態法と動態法などの歴史的な移行がテーマです。
※レポート作成の参考としてご利用ください。合格を約束するものではありませんので、丸写しはご遠慮願います。
'20会計学
はじめに
指定テキスト『会計学』には,会計の歴史における画期的なできごととして,以下の3つが挙げられている。14世紀から15世紀頃のイタリアにみられた複式簿記の成立,16世紀ないし17世紀頃のネーデルランドにみられた期間利益計算の成立,そして,18世紀ないし19世紀頃のイギリスにみられた発生主義の成立である(p.13)。本稿では,こうした会計の歴史を素地として,現金主義から発生主義へ,財産法から損益法へ,そして,静態論から動態論へと,会計における認識がどのように移行したのかを述べる。
1)現金主義から発生主義への移行
現代における会計の大きな特徴である発生主義は,現金主義と対比される。「現金主義」とは,カネの出入りにもとづいて利益を計算・把握する認識の原則である。現金収入によって収益を認識し,現金支出によって費用を認識する。そして,この差異を損益と認識する。直感的で分かりやすいプロセスではある。しかし,その場限りの取引においては有用であろうが,引き続き取引関係を維持するのであれば,その都度の会計では効率が悪い。こうした取引形態は,中世に発達した地中海貿易に典型例をみ...