日本大学通信教育部 哲学特殊講義 分冊2(2019~2022年度)の合格レポート(講評未修正)です。
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日本大学通信教育部 2019~2022年度
哲学特殊講義 分冊2 合格レポート
課題2:
教科書所収アルノー著『真なる観念と偽なる観念』(分冊2)について、マルブランシュによる事物認識の四つの方法を踏まえて、彼の自己認識の曖昧性というテーゼの内容を明らかにし、このテーゼに対してアルノーがどのような批判を行ったのかを、彼らの観念説の差異に触れながら明らかにしなさい(主に「第二十一章~二十四章」)。
回答例:
マルブランシュの主張によれば、延長実体(物体)は思考実体(精神)に直接かつ無媒介的に現前しない。精神は外部世界を直接認識できず、叡智的延長の媒介により認識する。彼は観念を神のうちにある表象的存在として物的対象や知覚から独立させ、デカルトの二元論の認識論的アポリアを克服し、科学的客観的知識の獲得を目指した。
まず、マルブランシュは事実認識の仕方を挙げる。①事物をそれ自体、つまり観念なしに直接的に認識する。神のみが可能である②事物をその観念により認識する。観念で認識されるものは延長のみで、物体の特性はそれを表象する観念によって認識される③事物を意識(内感)によって知る。自...