日本大学通信教育部 哲学特殊講義 分冊1(2019~2022年度)の合格レポート(講評未修正)です。
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日本大学通信教育部 2019~2022年度
哲学特殊講義 分冊1 合格レポート
課題1:
教科書所収アルノー著『真なる観念と偽なる観念』(分冊1)について、アルノーが指摘したマルブランシュの観念説の変遷がどのようなものであるか明らかにした上で、アルノーによるマルブランシュ批判について要約しなさい。
回答例:
マルブランシュはアルノー同様、デカルトから影響を受けてコギト・エルゴ・スムを認めたが、後に、観念を知覚ではなく精神の対象とし、「わたしたちはすべての事物を神のうちに見る」というテーゼを立てた。アルノーはこの背景に観念についての考え方の相違があると指摘する。
アルノーはデカルトに倣い、観念とは精神の変容であると考える。まず、「わたしは、魂すなわち精神を思考する実体と呼ぶ」という命題を示す。その上で、思考の本性に①対象の志向性②自己反省性を挙げる。①は魂が何ものかを表象することと同義であり、思考の本質である。表象とは知覚によって諸事物が精神に現前されることである。知覚はすべて思考の本質的で表象的な様態である。②は自分以外を認識するときに自分自身を認識することである。デカ...