学習を構想することを主題として、『伊勢物語』所収「筒井筒」(23段)と「梓弓」(24段)を比較しながらそれぞれ教材分析し、「比べ読み」を中軸とした読解単元を構想しなさい。
まず、『伊勢物語』について述べる。『伊勢物語』は平安初期に成立した歌物語である。作者は不詳であるが、主人公は在原業平であると考えられている。しかし、本稿で扱う「筒井筒」で描かれている男性は田舎の出身であり、このように業平とは関連性のない人物も描かれている。各話の中心となるテーマは男女の恋愛が多い。
「筒井筒」から分析を行っていく。場所は大和。登場人物は幼馴染の男女。二人は互いに愛し合い、親が他の人と結婚させようとするのにも従わなかった。結局、互いに歌を送り合い、結婚するのだが、女の親が亡くなり、男は他の女性(高安に住む女)と関係を持ってしまう。それに対して、何の反応も示さない女に不信感を抱いた男は、他の女のもとに行ったように装い、隠れて女を観察する。その際、女が男を思って詠んだ歌に感動し、男は高安の女のもとへ通うことはなくなった。すると、今度は高安の女が歌を詠み、男が来るのを待ち続ける。高安を訪れるような素振りを...