聖徳大学大学院、通信課程、児童学研究法特論Ⅱの第一課題です。佐藤郁哉「質的データ分析法 原理・方法・実践」を読んでの要約。約2枚半。【評価A】【講評:小見出しをつけた方がより良くなる。】
かつて研究や調査と言えば、いわゆるアンケートや統計調査あるいは実験などの量的研究が「保守本流」
とでも言えるような位置づけを占めていた。それに対して、10数年前からは、質的な方法を用いた研究の
成果が次々に発表されるようになり、質的研究が一種のブームになっている。質的研究ブームは、一面で
は、研究成果という点で豊かな実りをもたらしてきたが、一方で、研究を通して得られる知見の適切さや深
さ、あるいは方法面での厳密性といった点で深刻な問題を抱える研究が増加するという問題を引き起こし
た。それゆえ、いま日本では質的研究のクオリティを問う時期にさしかかってきているのである。
すぐれた質的研究がもつ特徴のひとつとして、「分厚い記述」というものがある。これはもともと米国の人
類学者クリフォード・ギアツが提唱した言葉であり、主に、調査現場でつけるフィールドノーツの詳細な記
述などを通して現地社会の生活と人びとの行為の意味を明らかにしていくことを指していた。それがいまで
は、すぐれた質的研究の報告書に盛り込まれる、調査対象や調査現場の状況に関するリアルできめ細かい記
述を...