まず、いじめの四層構造について叙述していく。いじめの四層構造とは、いじめの起きている現場を分かりやすく示したものである。いじめは、加害者と被害者だけではなく、その周りにいる子どもたちも大いに関わっているのである。周りにいる子どもたちは「観衆」と「傍観者」に分け、これら四層の立場が複雑に絡まりあい、いじめは起きるのだ。「観衆」は直接手を下すことはしないが、いじめを見て、はやしたてたり、面白がっている子どもたちである。そして「傍観者」はいじめを見て見ぬふりをして、無関心を装う子どもたちである。この「観衆」と「傍観者」の反応は、いじめに歯止めをかける可能性も、助長させてしまう可能性も持つ。もしも「観衆」と「傍観者」がいじめに対して否定的な態度をとれば、いじめを抑止する力が作用するが、「観衆」が面白がったり、「傍観者」が見て見ぬふりをした場合、いじめを促進する力が作用してしまう。つまり、加害者のみでなく、「観衆」や「傍観者」の立場にいる子どもたちにも、自分の振る舞いがいじめに加担している可能性を理解させ、それぞれの意志によっていじめを止めることができると指導する必要がある。
次にいじめの被害...