連関資料 :: 運動量

資料:19件

  • 2-5運動表示
  • 運動量表示 波動関数を別角度から見る。 運動量を示すベクトル  シュレーディンガー方程式を立てた時のことを思い出してもらいたい。 波動関数を位置座標で微分して -i を掛けることで運動量を取り出せるのであった。 どうやら波動関数には位置についての情報の他に、運動量についての情報も「同時に」含まれているようである。  前回は波動関数が無限の座標ベクトルの組み合わせで表現できることを確認したが、このように表された状態ベクトルの一体どこに運動量の情報が隠されているというのだろう?  無限の座標ベクトルと直交する別の無限個のベクトルがあって、それらの方向が運動量を表しているなどと考えるのは無理がある。 波動関数は座標ベクトルの組み合わせだけですでに完全に表されているではないか。 もしそんなベクトルがあれば、それは座標ベクトルと区別がつかないものになるだろう。 座標ベクトルだって他の全ての座標ベクトルと直交しつつ無限に存在するのだから。  では座標ベクトルとは直交しない形で存在する何らかのベクトルが運動量の情報を指し示していると考えればいいのだろうか。 とりあえずそれを「運動量ベクトル」と呼び、 |p> と表すことにしよう。 粒子がある特定の運動量を確実に持つという状態にあれば、ある一つの運動量ベクトルの方向を向いていることになる。 当然のことだが、確実にある運動量を持つという状態は、別の運動量を持たない状態であるから、やはりこれらのベクトル |p> どうしもこの空間内で直交して存在していると考えられる。  以上の説明で、位置と運動量を同時に決められないという量子力学の論理構造をイメージとして掴んでもらえたのではないかと思う。 状態ベクトルが、ある一つの座標ベクトルの方向を向きながら同時にある一つの運動量ベクトルの方向を向くことは不可能なのだ。  ではそのような運動量ベクトルと座標ベクトルの位置関係は一体どのようなものなのだろうか。 内積を取れば、0以上1以下の範囲にあることは確かだ。 0と1は含まないであろう。 0なら直交してしまうし、1なら重なってしまうからだ。 しかし現段階ではこれ以上のことは分からない。  別の視点から考え直そう。 指数関数への分解  波動関数から運動量を取り出すときに、微分しても関数の形が変わらないことが大切であった。 関数の形が変わってしまえば、変形後の関数の一体どの部分が中から飛び出してきた運動量の値を表しているかの判別が付かなくなってしまう。 そういうことがないように指数関数を使ったのだった。 指数関数ならば確実にどんな運動量を持つかが調べられる!  というわけで波動関数を多数の指数関数に分解して考えてみたらどうだろうか。 何とうまい具合だろう。 実際これが出来るのだ。  次のような指数関数の組み合わせは -π ≦ x ≦ π の範囲内で完全直交系になっているのである。  ただし、このままでは規格化されていないので自分自身との内積を取った時にちゃんと1になるように係数を付けてやる必要がある。 例えば、eix の場合には、 という具合になるが、この計算を見ればどの関数にも同じ係数を付けてやればいいことが分かるだろう。  範囲がこれでは使いにくいというのであれば x のスケールをいじることで、 -L ≦ x ≦ L の範囲で完全直交系になるようにも出来る。 係数も付け直さなければならないが大した作業ではない。  一番左の は運動量が p = π/L である状態を表す。 次は p = - π/L である状態。 順に
  • 全体公開 2007/12/26
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  • 1-104元運動
  • 4元運動量 「E = mc2」 はこんなに簡単に求められるんだよ。 4元運動量  前に4元速度を定義したが、確かに4元速度は素人には使い道がないのでつまらない。 では、これを4元運動量に拡張してやったらどうだろう。 力学で、速度と質量を掛け合わせることで運動量を定義したように、4元速度と質量を掛け合わせることで「4元運動量」を作るのだ。 これには意外な結果が待っている。  ただ、しかし、運動量を作るために4元速度と質量を掛け合わせただけでは不都合がある。 それは単位の問題である。 普通の速度は距離を時間で割ったものだが、4元速度は距離を「固有時」で割ったものである。 固有時は時間に光速度 c を掛けて長さの単位に合わせたものであった。 つまり、4元速度は長さを長さで割っていることになるので無次元量になってしまっている。 時間を長さの単位で表すために掛けた光速度 c の分だけ割りすぎているのである。 そこで4元運動量を定義する際に、その分を掛けて単位をちゃんと普通の運動量の単位に合わせておくことにしよう。  本来こういうことは4元速度の定義のところで光速度 c を掛けて調整しておくべきなのだが、今回は話の流れ上、私が学生時代に愛読していた本に従った。 それで、そのツケが4元運動量の定義の部分に回ってきただけの話である。 教科書によってはちゃんと4元速度に光速度cを掛けて定義してあるものもある。  とにかく、次のように4元運動量 ( p0, p1, p2, p3 ) を定義しよう。 p0 = mc u0,  p1 = mc u1,  p2 = mc u2,  p3 = mc u3  これは4元速度に mc を掛けただけなので当然次のような組み合わせは不変量になる。 (mc)2 = ( p0 )2 - ( p1 )2 - ( p2 )2 - ( p3 )2  前に出てきた4元速度についての式の両辺に (mc)2 を掛けてやっただけだ。 この式はしっかり意味を考えて見なくてはならない。 p のすぐ右上についている数字はべき乗を表すのではなく、ただの添え字である。 そして、括弧の外についている「2」は、2乗を表している。  さて、数式の上では憧れの「E = mc2」にかなり近づいている。 これをちょっといじるだけでよい。 このまま一気になだれ込みたいところだが、正しい議論のためにこの4元運動量の意味を確認しておく必要がある。 4元運動量の意味を考える   前回の一番最後で計算した結果を使ってやれば、4元運動量はそれぞれ、 p0 = mcγ,  p1 = γmvx ,  p2 = γmvy ,  p3 = γmvz のようになる。 p0 についてはまだ意味が良くわからないが、他の3つについては普通の運動量の定義に γ がついただけである。 γというのは 1 / √( 1 - v2/c2 ) のことであって、速度 v が光速度 c と比べて極端に小さい時にはほとんど1に近い。 よって、4元運動量の3つの部分はニュートン力学的な極限で普通の運動量の定義と同じものになるのである。  ここで我々は、ハタと考えを改めて、こちらを本当の運動量として受け入れることにするのである。 今までは無邪気に質量と速度を掛け合わせただけで満足していたのだが、運動量の本質というのはもっと別のものであって、なぜか、p = mv / √( 1 - v2/c2 ) と表せる量なのだ、と考える事にするのである。 我々はこれまでその低速の極限で成り立つ p = mv という定義で
  • 全体公開 2007/12/26
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  • 運動は光そのもの
  • 運動量は光そのもの? 言いそびれたのでここでちょろっと書いておこう 光は運動量とエネルギーを持つ?  物理の教科書や啓蒙書の中でよく使われている表現で、かなり気になる部分がある。 それは「光は運動量とエネルギーを持つ粒子である」という言葉だ。 君もどこかで目にしたことがあるかも知れない。 これは慣用句のようになっているのだ。 (私自身、量子力学のページで無意識に使ってしまっていた!)  しかしこの表現には不自然さを感じるのである。 あたかもある男が「私には妻と配偶者がいます」と言っているようではないか。  妻も配偶者も同じであって、ただ言葉に含まれる情報量が違うだけである。 配偶者と言った場
  • 情報 運動 科学 エネルギー 物理 言葉 自然 表現 力学
  • 全体公開 2007/12/26
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  • 質量は「運動」と等価である
  • 質量は「運動量」と等価である 普通の教科書では、 質量は「エネルギー」と等価である、と説明します。 エネルギー概念の放逐  静止している質量 M のエネルギーは E = Mc2 で表すことが出来る。 ところが、その物体の内部ではさまざまな質量 m を持った分子がさまざまな速度で激しく運動しており、その分子の静止質量や運動エネルギーの総量がその物体全体の質量を構成しているのである。  この状況を式で書き表すならば、  Mc2 = Σ√( (mc2)2 + (pc)2 ) と表せる。 エネルギーの2乗のまま和を取ることが出来たならもっとすっきりした式にできたのだが、個々の分子のエネルギーを普通に足し合わさなければならないのでどうしても2乗を外してルートを導入せざるを得なかった。 それでもこの後の議論には差し支えない。  さて、この式を見ると、光速度cばかりが結構目立つので思わず両辺をcで割ってしまいたくなる。 すると、  Mc = Σ√( (mc)2 + p2 ) と書ける。 これが力学の記事を書いている頃から私が考えをめぐらせていた式である。 実はルートの付かないすっきりとした形式、  (Mc)2 = (mc)2 + p2 に持って行けることを期待していたのであるが、多数の粒子による重心系に話を限る以上、厳密さを大切にして上側のような表現にする必要があった。  これは有名な「 E=mc2 」の公式と違って、両辺が運動量の次元(の2乗)になっている。 つまり、この式の中には運動量しか出てこないのである。 前から私が言っていたように、これがこれから相対論からもエネルギーの概念を放逐してやろうという野望を実現する手がかりとなる。 私はエネルギーは人工的概念であって、実在を表すものではないと考えているので、これを放っておくのは気味が悪いのである。   そして私は運動量こそ宇宙に実在する全てではないかとさえ考えているので、運動量が式に残ることについては大歓迎である。  この式の中の mc という部分、もっと正確に言えば、運動量が0であるときに Σ√(mc)2 と書ける部分を、静止エネルギーという言葉に倣って(冗談めかして)「静止運動量」とでも呼ぶことにしよう。 静止しているのに運動量とは妙な感じではあるが、私の主張は「質量は運動量のかたまりである」ということである。  力学の解説の中のエネルギーの説明の初めの方で、「なぜエネルギー保存を使わなければならないのだろう? 『運動量の2乗の保存法則』というのはダメだろうか?」ということをしゃべっていたのを思い出すが、ここにきてそれに似たことが出来ることが分かってくる。 当時うまく行かなかったのは、ニュートン力学の範囲で考えていたからであり、保存量を作ろうとする時にどうしても質量を入れないとうまくいかなかったのは、ニュートン力学における「運動エネルギー」が相対論的エネルギー保存の式の近似表現に過ぎなかったからなのである。 質量でさえ運動量から出来ている、という考えを導入すればエネルギー保存の代わりに『運動量の2乗和の保存法則』というものが作れそうである。 ただし、これは意味をしっかり考えて使わないといけないので、下手に使うと誤解を招きやすそうである。  「質量はエネルギーと等価である」というフレーズは有名であり、この表現の方が確かに間違いも誤解もないのであるが、本当に意味が分かって使っているだろうか? そればかりにこだわって他の見方が出来なくなってはいないだろうか? 質量の入れ子構造   このような
  • 全体公開 2007/12/26
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  • 私が運動を擁護する理由
  • 私が運動量を擁護する理由 「実在の哲学」と同じような話。同時に作った原稿なのです。  「力」は運動量を交換する現象を見て、人間が作り出した概念的なものに過ぎない、というのが私の主張である。そんな事は物理学者なら当然のように知っている。 量子力学では「運動量の交換」の話しか出てこない。素粒子論では、「電磁気力」「弱い力」「強い力」「重力」の4つの力について議論されるが、その中身は運動量がどのように交換されるか、という計算だけである。力が何ニュートンかといった計算はしない。  しかし、よくよく考えてみれば、「運動量」だって、人間が便利なように作り出した概念であって、質量と速度をかけたものである。
  • 全体公開 2007/12/24
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  • 2-3運動とエネルギーの比較
  • 運動量とエネルギーの比較 運動量とエネルギーの概念は 1つにまとめられないものだろうか? 別のアプローチは可能か?  「エネルギーとは何か」の記事を書いている途中でふと次のようなことを思った。  エネルギー保存則は、運動量が0の状態の2つの物体がお互いを突き飛ばすことによってそれぞれが運動量を持つようになることを禁止しているようだ。  もしこの考えが、止まっている状態の2つの物体だけでなく、動いている場合にも拡張できるのならば、わざわざエネルギーなどという新しい概念を作らなくても、代わりに「運動量の絶対値の保存法則」とかを作ってやればいいわけで、より直観的に理解し易くなるのではないだろうか?  もしこういったことが出来るなら、物理から「エネルギー」と言う言葉を完全に消し去ってやることが出来るわけで、代わりに「運動量」だけで全てを説明してやれるではないかと目論んだのである。  しかし、この試みはうまく行かなかった。 運動量だけではどうしてもエネルギー保存法則の代わりになるような法則を作ることが出来ないのである。 衝突の前後で保存する量を作ろうとすると、質量も入れる必要が出てきて、結局エネルギーと同じものを定義する羽目になってしまう。  なぜ私がエネルギーという概念を素直に受け入れようとせずに、「運動量」だけで何とか説明できないだろうか、と抵抗するかと言うと、「エネルギー」というものが一体何なのか、うまく説明できないからである。  もちろん、定義や数式を使って説明することは出来る。 しかし、突き詰めていくと納得のいく簡単な言葉での説明が難しい。 最後には「エネルギーはエネルギーだ、慣れろ」としか言いようが無い。  なぜ私がうまく説明できないかと言えば、それは、根本の部分でエネルギーと運動量があまりによく似ているからである。 エネルギーと運動量は似ている!  一体、「エネルギー」と「運動量」は、何が違うというのだろうか? 運動エネルギーだけに関して言えば、エネルギーと運動量は両方とも「運動の勢い」を表す量であって、こいつらを分解すれば両方ともただの「質量」と「速度」の組み合わせでしかない。 「運動の勢い」を表したいだけならどちらを使っても差し支えないではないか。  それであるのに、2物体の衝突後の速度を求める時には「運動量保存則」と「エネルギー保存則」の二つの条件が必要になってくる。 もし物体が2種類の独立した全く性質の違うものをそれぞれ持っているというのならば法則が2つあってもそれほど不思議ではないのだが、なぜこの同じような意味を持つ量が別々に物体の運動を規定しているのだろうか?  言葉を替えて言い直そう。 物体はなぜ衝突の前後で「運動量保存則」と「エネルギー保存則」の二つを律儀に守ろうとするのであろうか?  衝突の前後で「速度」がどう変化するかだけを求めたいのに、法則は2つ必要。 そこが気持ち悪さを感じる原因である。  物体自身はこの2つの法則を別々に考えて従っているわけではないであろう。 何か一つのそうせざるを得ない仕組みが裏に隠されていて、結果として自動的に2つの保存法則を守ることになっているに違いない。 それを人間の理解しやすい形式で解釈すると2つの法則に従っているように見えるだけなのだ。 きっと。 私はそれを何とかして一つの法則として理解したいと思うのである。 エネルギーと運動量の違い  エネルギーが運動量と違う点は、運動していなくても「どこかに蓄えられている」事だ。 例えばバネをギュッと押し縮めた時、運動はしていないがこれ
  • 全体公開 2007/12/24
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  • 1-5運動保存の法則
  • 運動量保存の法則 作用・反作用の法則などなくとも、 運動量保存の法則は同じ事を言い表しているのだ。 ただし、つりあいの力学の分野では使いにくい。  運動量保存という有名な法則がある。 これは簡単にいえば、物体の運動量の合計はずっと一定で決して変わらないということである。 運動量が変わらないということは物体がひとりでに速度を変えたりしないということであって、慣性の法則に似ている。 実は慣性の法則は運動量保存法則の一部なのである。  運動量保存法則には慣性の法則以上の意味がある。 2つ以上の物体が衝突する時、衝突前と衝突後の2つの物体の合計の運動量は同じだというのが運動量保存則の意味である。 実に2つの物体の衝突に限らない。 いくつの物体でもいい。 いくつもの物体がめちゃくちゃにぶつかって複雑な運動をしたとしても、その全ての運動量を合計したものはいつでも同じ。 未来永劫変わらないということである。 運動量保存の法則 どんなに複雑に運動しても合計の運動量は決して変わらない。  運動量の合計と言っても、ただの足し算をしたのではだめだ。 運動量には方向がある。 速度に方向があるのと同じである。 上向きの運動量と下向きの運動量が一緒になったとき、打ち消しあう。 右向きの運動量と左向きの運動量が一緒になったとき、打ち消しあう。 同じ大きさで反対向きなら合わせると0になる。 この運動量の方向と大きさを長さの違う矢印で表すことにすれば図に書いて理解しやすいし、計算も直感的で計算しやすい。 このような表現をベクトルという。 ベクトルで足し算をしないとだめなのだ。 この文章を読むような人ならベクトルがどのようなものか理解していると思うのでこれくらいの説明しかしない。 分からない人もいるかも知れないが、そういう人は高校の数学の教科書を調べて欲しい。  ところで物体がひとりでに動き始めることがあるだろうか? ひとりでに動き始めるというのは何の影響も受けないのに自分自身で動き始めるということだ。 このようなことは探しても見当たらないのである。 (もしいたずら好きな霊がやっているというのならそれは「ひとりでに」ではないと私は考える。)  必ず、物体は他から運動量をもらわない限り運動を変化させることが出来ない。 物が落ちる時、物は地球から重力という形で運動量をもらっており、その分、地球は同じように落下中の物体に近づく運動をしている。  君が地球上でジャンプする時、地球も君に蹴飛ばされて下向きに移動している。  君が壁を押して進む時、地球はその反動で回転を始めるし、 君が走る時、蹴飛ばされた地面は君が走るのと反対方向に回転しているのだ。  ごまかしでも言葉のトリックでもない。 ただ、君が地球に与える程度の運動量では地球のような巨大な質量をごくゆっくりとしか動かせないだけなのである。 確かに僅かずつだが地球は君の影響を受けて動いている。 しかし、いつまでも君のせいで地球が回転し続けるわけではないことに注意しよう。 君はすぐに走るのをやめるだろう。 その時、君は再び地球を蹴って止まる事になるので君の影響で始まった地球の回転は止まる。  運動量が一定であるために、いつもこのような反動が必要なのである。 運動量保存則は作用・反作用の法則と同じ内容を含んでいる。  反動というのは相手に運動量をあげた結果である。  地球などという壮大な相手を選んだので困惑させてしまっただろうか? 同じ事は水の上に浮いた丸太の上を歩く時にも体験できる。  君が丸太の端から端まで動く間に丸太も反
  • 全体公開 2007/12/24
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  • 1-18エネルギー運動テンソル
  • エネルギー運動量テンソル みんなテンソルになっちゃえ! 質点のエネルギーと運動量  ある点に質量 m の静止した質点が存在する時、相対論的にはそこに mc2 のエネルギーが存在していると解釈できる。 ところが、それに対して速度 v で運動する人がこれを見れば、同じ点に γmc2 のエネルギーが存在していると解釈できることになる。 ところがエネルギーだけではない。 同時に運動量 γmv もそこにあると見るだろう。  ある人にはエネルギーにしか見えないものが、別の立場では運動量にもなるのである。  逆は言えるだろうか? 自分にはある瞬間、ある点に運動量 p があるように見えるとする。 それを自分に対して速度 v で運動する人から見たら、この点の運動量はどのように変化して見えるだろう? これは難しい。 ただ運動量 p とだけ言われても、元々の質量が不明だし、質点の速度も分からないからである。 さらに、質量も速度も異なる複数の質点がその時たまたま同じ位置にあって、その合計が p だと言っているのかも知れない、と勘ぐる事もできる。  視点の違いによって運動量がどう変化して見えるかを求めるには、次の二つの約束がされていないと難しいということだ。 一つ、速度の異なる複数の質点が同じ場所を占めているなどという計算を面倒にするような状況は起こっていないとすること。 もう一つ、その質点の質量、すなわち静止時のエネルギーも知らされていること。  いや、2番目の条件は少々強過ぎる。 代わりに、運動する質点の全エネルギー γmc2 が知らされていても構わない。 運動量が γmv なので、二つの情報から質点の速度 v が割り出せるはずだからだ。  結局、ある人から見た運動量とエネルギーの情報さえあれば、その値を、別の人から見た値に変換できるということだ。 冒頭では、静止エネルギーだけから別の視点でのエネルギーと運動量を両方導いたように話しているが、実は自分から見て運動量が0だという情報もこっそり使っていたのであった。 変換式を求める  「エネルギーと運動量の値を一組にして扱えば、あらゆる慣性系での値が導き出せる」とは言ったが、その具体的な変換式の形がどうなるかを見てみないと気になるだろう。 求めてみよう。  自分から見て、ある質点のエネルギーと運動量が ( E, px, py, pz ) だという情報があるとする。 であるから、この物体の速度は であるということが導かれる。 また、その v を使って γ が計算できるから、この質点の静止質量は m = E/γc2 であることが分かる。 あとは、自分に対して速度 V で運動している人から見て、この質点の速度 v がどう見えるかさえ分かれば・・・。 あー、こりゃ面倒くさい!!  こんな回りくどい考え方じゃなくて、もっと簡単に計算できる方法はないものか。 それが別の方法で出来そうなのだ。  やってみよう。 質量 m が動いている時、私にはそれが、 に見えるわけだ。 それは質点の4元速度を使えば、 と表現できる。 ・・・ああ、そうか。 ちゃんと初めからエネルギーと運動量の次元を合わせておいてやれば、次のような非常に整った形式で表せるではないか。  運動量とエネルギーの組で作ったベクトルが、4元速度ベクトルとこのような単純な関係になっているなんて気付かなかった。 前は E = mc2 の公式にたどり着くのに夢中になっていたからな。 話は予定していたよりも簡単に済みそうだ。  とにかく、自分に対して速度 V で
  • 全体公開 2007/12/26
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  • 3-3角運動の行列表現
  • 角運動量の行列表現 角運動量の話を第3部に持ってきた理由はここにある。 交換関係  ここまで描いてきた角運動量のイメージを補うために、数学の助けを借りることにしよう。  まずは角運動量の演算子の交換関係を調べることから始める。 大抵の教科書では真っ先にやることではあるが、私の場合、今回の話でどうしても必要になるから仕方なく導いておくのである。  交換関係を求める事は以前に「 不確定性原理 」のところでもやったが、忘れているかもしれないので、一つだけ丁寧に計算例を示しておこう。  今回はわざわざ を付けて計算する意味はなかったが、 があることを意識して計算していることを示すために敢えて略さなかった。 この結果を交換子を使って書けば、 とシンプルに表せる。 また、Lx, Ly, Lz は対称的な形式をしているので、わざわざ同じような計算を繰り返すことなく、 という関係も得られる。  交換子の値が0であったなら、同時に2つの演算子の固有関数となる関数が存在するということだが、この場合は L = ( 0, 0, 0 ) でもない限りは、 L のそれぞれの方向からの観測値は同時には決められないということであり、それはすでに前回話した通りだ。  ちなみに という関係を導く事も出来るが、これは量子数 l と m とを同時に定める事が出来ることを意味している。 これも前回やった事の確認である。  しかし、交換関係はこんなことを説明するためだけにあるのではない。 本当の使い道はこの後にある。 行列への変換  微分演算子と行列が論理的には等価だという話は第2部で出てきた。 そこで、角運動量の演算子を行列で表したらどうなるだろうかと考えてみよう。  なぜそんなことを考えるかというと、あの複雑な原子の波動関数に対して極座標で微分計算をするという面倒な手続きから解放されたいからである。 もっとすっきりと論理構造を見渡せるようになるのではないかという期待がある。  簡単な例を挙げて説明しよう。 と言っても l = 0 では話にならないので l = 1 を考える。 この時、m = 1, 0, -1 という3つの状態がありうるのだった。 エルミート演算子の異なる固有値に属する固有関数は互いに直交しているという数学的な要請があり、ベクトル表現でも同じ事が言えるはずだ。 これら3つの直交する状態ベクトルを |1> , |0> , |-1> という記号で表すことにしよう。 具体的には というベクトルをイメージすればいい。 本当はこれらをユニタリ変換したどんなベクトルの組でもいいのだが、簡単なところから考える方がいいだろう。  この有限次元のベクトルは何を意味しているのだろうか。 波動関数というのは無限次元の複素ベクトルであるという話だった。 これはその無限に軸がある空間内から、主量子数 n がある値であるような空間だけを持ってきて、さらにその中の l = 1 という条件を満たす部分的な空間だけを取り出してきたようなイメージである。  つまり「無限次元の存在」の断面図を見ているようなもので、今はその断面は3次元であり、l が変化しない限りは状態ベクトルもその断面上に乗っかって存在すると考えているわけだ。 しかし今は他の次元のことは忘れて、3次元が全てだと考えた方が分かりやすい。  このとき、演算子 Lz を表す行列は非常にシンプルに書ける。  こうしておけば、 という関係が満たされているわけだ。 ちなみに l = 2 の場合には Lz は という形に
  • 全体公開 2007/12/26
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