静電気
静電気(せいでんき、static electricity)とは、静止した電荷によって引き起こされる物理現象。
静電気は、物体(主に誘電体)に電荷が蓄えられている(帯電する)状態や、蓄えられている電荷
そのもののことを指す場合もある。電荷は常に電界による効果と磁界による効果を持つが、静電気
と呼ばれるのは電界による効果が際立っている場合である。
物体に他の物体から摩擦や強い力が加わると、負の電荷が移動して正の電荷と負の電荷のバランス
が崩れ、それぞれ正に帯電した状態と負に帯電した状態になる。これらは同じ種類の電荷は互いに
反発し(斥力)、違う種類の電荷は引き合う(引力)という性質をもち、これらの力を静電気力と
いう。
発見は古く、紀元前600年頃にはタレスによる摩擦帯電についての記述が存在している。電池や電
磁誘導の原理が見い出されるまで、電気といえば静電気のことであった。あまり使われない用語だ
が、対義語として動電気がある。ただし、静電気学では動電気という言葉は使われることはほぼな
く、動電気の定義のものであっても、静電気の現象として扱われることがほとんどである。
しばしば、摩擦帯電によって生じる電荷のことを指して静電気と呼ぶが、本来は摩擦帯電も静電気
現象の一つでしかない。例えば圧電効果なども静電気の範疇である。雷もまた、雲に蓄えられてい
た静電気によって引き起こされる放電現象である。
英語の
electricity(電気)という言葉を最初に使ったのはトーマス・ブラウンで1646年のことだが、これ
はウィリアム・ギルバートが1600年に使ったラテン語の新語 electricus
が元になっている。なお、electricus
という言葉は13世紀ごろから使われていたが、ギルバートは初めてこの言葉を「琥珀のようにもの
を引き付ける特性(つまり静電気)」という意味で使った。ギルバートは摩擦によって
effluvium(目に見えない放出物)が取り除かれることでその物体がものを引き付けるようになると
考えており、電荷という考え方には至っていない。
日本においても静電気学会によって応用方法や事故防止の方法が研究されている。
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