風景構成法
風景構成法(ふうけいこうせいほう、英: Landscape Montage Technique ;
LMT)は、中井久夫によって1969年に創案された、絵画療法(芸術療法)の技法の一つである。
風景構成法は、統合失調症患者への描画を介した治療的接近の可能性、適用性の追求というきわめ
て実践的な見地から、中井久夫によって1969年に創案され、1970年に報告された絵画療法(芸術療
法)の一技法である。
日本において広く普及し、ドイツ、インドネシア、アメリカ合衆国においても知られる。箱庭療法
やなぐり描き法の示唆を受けて中井が草案したものであるが、市橋秀夫、中里均らにより採り上げ
られ、理論的にも分析された。その後は日本の臨床場面において特に山中康裕、皆藤章、川嵜克哲
らが中心となって研究が続けられている。
中井は1970年頃に東京で開かれた、第一回芸術療法研究会において、河合隼雄の箱庭療法に関する
講演から多くの示唆を受けたという。河合は統合失調症患者の箱庭を示して、『彼らは枠の中に柵
を置いて囲んでから、ものを置く』『彼らの世界は、この柵の外側の狭い空白の部分かもしれませ
んね』という言葉から、『箱の枠だけでは保護が足りないのではないか』と気がついたという。後
に中井は、画用紙に治療者自らが枠を描き入れることで、安全保障感と保護を与える『枠付け法』
を生み出した。
風景構成法はロールシャッハテストのような投影的表象を解釈するものとは対照的なアプローチで
あり、枠組みの中で構造化された空間に対し、統合的指向性をもって表現される構成的表象を読み
取る技法である。またその彩色の過程は投影的表象を表現している。投影的方法と構成的方法は補
完的に機能し、相互から有用な知見を読み取ることができる。
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