はじめに
人間は誰しも幸福を追求する権利がある。しかし今日では、高齢者・幼児への虐待、障がい
者差別、パワハラなど様々な人権侵害により個人の幸福が脅かされている。また、人間は自身
を優先してしまうことから、自身が気づかずに人権侵害をしていることもありえる。こうした
人権侵害に対して、社会福祉士はソーシャルワークを行ううえで、明確な倫理視点をもって対
応することが重要である。
本稿では、身近に起きた人権侵害の具体例を用いて、社会福祉士としての対応について述べ
ていきたい。
1.社会福祉士としての倫理の必要性
我々は人としてそれぞれの道徳観を持っているが、全ての人が一つのことを倫理的に正しい
と考えるわけではない。
そのため、我々は日々の生活の中で、気づかずに人権侵害を犯していたり、逆に人権侵害を
受けていることもある。
また、法律家や医師などの専門職は、基本的な人権の尊重や人命救助の倫理的視点から専門
的知識や経験によりクラライアントや患者に対して解決や改善の目標を設定し追求するため、
職業としての倫理を優先するところがある。
一方、社会福祉士はその人のもつ固有の能力、個人...