卒業論文『子どもの貧困』
はじめに
2006年に発表された経済協力開発機構(OECD)の「対日経済審査報告書」でわが国の相対的貧困率はOECD諸国の中で2番目に高い14.9%だというショッキングな数字が報告された。永らく「1億総中流」といわれてきた中、日本において「貧困」という概念は「稀なもの、遠い昔のもの」という感覚があっただけに理解しがたいと感じた人も多いはずである。
2000年はじめから半ばにかけ、「下流社会」に「勝ち組・負け組」、「格差」とつく書物が書店に並び、メディアでも盛んに論じられた。何が何でも格差だ、という時期から格差の底辺である貧困問題へと、世論の関心は対象を変えて世の中を駆け巡っている。
そんな中、近年関心が高まっているのは、子どもの貧困である。厚生労働省が2007年に発表した「子どもの相対的貧困率」は14.2%であった。約7人に1人が貧困状態という計算になる。親が保険料を納められないために国民健康保険証が無い“無保険”の子どもが3万人以上いることも、2008年にはじめてわかった。
目次
はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p1
第1章 貧困化の著しい日本の子どもたち
第1節 国際比較からみた日本の子どもの貧困 ・・・・・p2
第2節 日本のひとり親家庭 ・・・・・・・・・・・・・p4
第3節 子どもの貧困率の逆転現象 ・・・・・・・・・・p5
第2章 貧困家庭に育つということ
第1節 学歴と社会階層 ・・・・・・・・・・・・・・・p8
第2節 貧困の連鎖 ・・・・・・・・・・・・・・・・p10
第3章 「子ども対策」に向けて
第1節 社会投資としての社会保障制度 ・・・・・・・p13
第2節 最低限保障されるべき教育のために ・・・・・p16
第3節 貧困削減に対する教育の役割 ・・・・・・・・p17
おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p21
はじめに
2006年に発表された経済協力開発機構(OECD)の「対日経済審査報告書」でわが国の相対的貧困率はOECD諸国の中で2番目に高い14.9%だというショッキングな数字が報告された。永らく「1億総中流」といわれ...