慶應通信 フランス文学史Ⅱ 19世紀の小説と歴史について

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    資料紹介

    題材として、バルザックの『ふくろう党』を選びました。

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    2019年度 フランス文学史Ⅱ
    選択課題:1「19世紀の小説と歴史」

    1.19世紀のフランス文学界と『ふくろう党』
     19世紀は小説の世紀と言われるほど、フランスで小説が発展した世紀である。そしてまたこの時代は、歴史の世紀でもあった。フランス革命やナポレオン帝政、ブルボン朝の復古等による社会体制の変化の繰り返しにより、人々は社会的、文化的に未曽有の変動に遭遇することになった。これは、個人と社会の関係が歴史の流れに強く規定されるということを、人々に認識させた。
     歴史小説は、そんな歴史志向に支えられ、当時のフランス文学界で大流行した。その流行のきっかけとなったのは、イギリスの作家ウォルター・スコットである。スコットはスコットランドのイングランドとの戦いを題材にした『ウェイヴァリ』、サクソン人とノルマン人の抗争を描いた『アイヴァンホー』等の数々の歴史小説を生み出した。対話とアクションの劇的展開のうちに中世の歴史的・社会的典型を描き出した彼の小説の翻訳は特に1821年から1830年にかけて熱烈に歓迎され、フランス小説に革命をもたらした という。(pp.175)スコットの作品の影響下にある作...

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