日本大学通信教育(日大通信)メディア授業 法学 MA 最終試験の合格リポートです。丸写しは避け、参考程度に活用される方のみご購入ください。
法学MA試験レポート
(1)道徳規範を必ずしも法規範とし得ないのはなぜか。具体例を示しながら説明しなさい。
法と道徳の関係において、「法は道徳の最低限である」と言われることがある。この言葉の通り、法と道徳というのは大変近い存在にあると言える。故に、法規範と道徳規範というのも親和性が高く、たとえば漢の高祖による法三章(殺すな、傷つけるな、盗むな)は、法規範であると同時に道徳規範の性質も持っている。法規範と道徳規範が一致する例は原初の法のみならず、現代の法にもある。信義則と呼ばれる民法1条2項「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない」や公序良俗と呼ばれる90条「公の秩序又は全量の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする」などの法がその例である。しかし、法規範は必ずしも道徳規範と一致するわけではない。また、実際に道徳規範とは異なる法規範を持った法はたくさんある。それはなぜか。理由は複数ある。
まず重要な点は、法と道徳の性質の違いである。道徳というのは、人間の内面に起こる良心のことであり、それに基づき善を行うこと、また悪を行わないことを指す。それに対し...