【日大通信】国文学概論(M20200)課題2 2019~2022年度
「国文学概論」分冊2の合格リポートでございます。
課題:明治・大正期の文学作品の中から一つを選び、それを熟読・分析する中から、
次の課題のいずれか一問を選択し、番号に必ず〇印を付けて答えなさい。
①「公」と「私」との葛藤から、「近代」とは何かについて考察しなさい。
②「男」と「女」とが、どのように書かれるかを見て、「文学」の役割について考察しなさい。
※②を選択したレポートです。
「作品に関する当時の社会状況について、作成者なりに捉えられており、かつ作品内容に対して十分な分析が行えています」との講評を頂戴し、S評価を頂きました。
少しでも皆様のお役に立てましたら幸いです。
レポート執筆がんばって下さいね!
両性関係に於いて、古代の肉欲本能時代と中世の霊的宗教的女人崇拝時代に次ぐものは、婦人を一個の人として
認める霊肉合一の一元的恋愛観の時代で、それが近代だ。明治以来の日本社会は、男女間に於いても近代的自我
の範型を措定した。love に匹敵する思想の無い日本人にとって恋愛は、同じく新奇な概念である自由や平等とも
代替可能な理念として享受される。それ以前の恋、色、情が、肉体関係と不可分であるのに対し、西欧近代的な
l ove の理念を、人格や内面の尊重に基づく精神的な関係として理解したのである。
近代的恋愛は、自律性を備えた個人概念を前提とする。恋愛は二つの個人の結合によって互いに自己を充実し完
成する。近代人の個人主義と恋愛との関係を考える時、恋愛は自己犠牲の精神であるが、個人主義は、自己を主
張して自由に動こうとする。しかし、恋愛至上主義の立場に立てば、恋愛こそが本当の自己を肯定し完成する。
自我の解放、真の自由生活は、自己犠牲・自己放棄に於ける自己主張によってのみ到達し得るのである。
日本の近現代文学には、望まない妊娠を登載した妊娠小説というジャンルがあり、戦前はその黎明期に当た...