【日大通信】国文学史Ⅱ(M30200)課題1 2019~2022年度
「国文学史Ⅱ」分冊1の合格リポートでございます。
「課題の要求を踏まえて言及している点をプラス評価します。」との講評を頂戴し、S評価を頂きました。
少しでも皆様のお役に立てましたら幸いです。
レポート執筆がんばって下さいね!
国文学史Ⅱ 課題 1
文学的近代の成立について述べ、代表的な作家とその作品について解説せよ。
近代小説は、坪内逍遥が『小説神髄』で西洋の novel の訳語として用いて一般化され、
人情本、滑稽本等の戯作に、啓蒙的な政治小説、西洋の翻訳小説等が交錯して概念が固ま
った。
明治の前半期は漢文訓読体、和文体、翻訳体等が並走していたが、明治 30 年代後半に
言文一致体が一般化する。あるものをありのままに写し取る写実主義が浸透し、二葉亭四
迷が『浮雲』にて初めて言文一致を試みた。しかし、主観的な口語を模した言文一致体が
最も客観的であると期待された点に矛盾があった。近代小説は、話す様に書く試みを始め
た為に、西洋語の基底にある主語=語る主体をどの様に取り入るかという課題に突き当た
る。
田山花袋の『蒲団』は、主観的な題材を客観的な装いを持って如何に描くかという折衷
の実践だった。三人称の形だが、その背後には場面に潜在する「私」が在り、双方の橋渡
しとして設けられたのが、主人公が小説家であるという設定だ。物語を当事者側から捉え
ることで芸術理念、文学観を発信して行く、メタレベルの法則が...