【日大通信】文章表現法(M31900)課題2 平成29・30年度
「文章表現法」分冊2の合格リポートでございます。
「文章表現力もあり、内容的にも興味深く、よいリポートと言えます」との講評を頂戴し、S評価を頂きました。
課題:四〇〇字程度の長さのまとまった内容を考え、それ
を相手に伝えるとして、普段の話し言葉で伝える場合
と、改まった書き言葉で伝える場合の二つを書き、両
者の表現の差異について具体的に説明しなさい。
少しでも皆様のお役に立てましたら幸いです。
レポート執筆がんばって下さいね!
『友情』は、主人公野島とその親友大宮における友情と恋愛の相剋を描いた青春小説だ。
作品の特徴は、短文を連続させて展開するところにある。居直りもせず照れもしない率直な書き方で、杉子への愛に身を委ねる野島の盲目で純粋な恋心と重なる文体だ。「其処には杉子がいる。機嫌よくしている。野島にもよく話しかける。梨をむいてくれる。身体のことを気にしてくれる。笑い顔を見せてくれる」。状況を羅列するだけだが、その一つ一つが野島にとっては貴いものである。「汽車がいつもよりも性急なのを感じるばかりだ」という感覚描写を見ても、杉子と過ごす時間の幸福が実感を伴って伝わって来る。
「そしてその力を与えてくれるのは。
杉子だ。杉子が自分を信じてくれることだ」では、改行によって表現の間を生み、野島の心境(杉子への理想視を強める瞬間)を示す。意図的な段落作りが劇的効果を高めている。
修辞疑問という反語表現を用いた「こんな天使が何処にいるだろう」は、疑問文の形式を取りながらも、疑いの気持ちではなく問いかけと反対の気持ち(こんな天使は何処にもいない)を主張するものだ。杉子を理想化して崇める野島の妄信さが際立っている。...