乳幼児健診の看護
乳幼児検診の目的
乳幼児健康診査は、 母子保健法第12条及び第13条の規定により 市町村が
乳幼児に対して行う健康診査。
健診費用は健診費用が国や自治体負担となるため無料。
乳幼児健診の目的は「乳幼児の病気の予防と早期発見、および健康の保
持・健康の増進」である。
1ヶ月健診
病院から家庭に戻った後、順調に育っているかどうかをはじめてチェック
を受ける健診で出産した病院で受診する事が多い。 新生児期に問題があっ
た赤ちゃんについては、その問題点のチェックする。新生児期にわからな
かった問題点の発見も目的である。初めての育児に不安など抱えている場
合もあるため、不安な事など含めて情報収集していく必要がある。
主な健診の内容
母乳やミルクをよくのみ、体重の増加は順調か (出生時より体重が約1㎏
増加したか)
・頭囲も増加しているか
・姿勢や筋肉の緊張に問題ないか
・手足を活発に動かし、音や光に反応があるかどうか
・ 精密検査の適応
・灰白色便や黄疸は入院し精密検査が必要(胆道閉鎖症の疑い)
6~7ヶ月健診
体重は出生時の2倍、身長は約60cmとなる。 3~4カ月健診は、身体発
育、 赤ちゃんの発達からみて重要な時期である。
生活に支障をきたすような疾患や、早期に発見し治療の必要のある疾患の
発見する。
乳児期の栄養・生活指導なども行う。
主な健診の内容
体重、身長、頭囲、胸囲などの 身体計測と内科的診察を行う。
頸のすわり、追視、反応性笑い、 人の顔、声などによく反応するなどの精
神運動発達 生活に支障をきたすような疾患や先天性股関節脱臼、斜頸、先
天牲心疾患など早期に発見し治療が必要な疾患の観察を行う
・精密検査の適応
・追視のない児は精密検査が必要
7〜8ヶ月健診
この時期には、体重はおおよそ7~8kg、身長は65cm程度になります。
座りや寝返り、手を伸ばして物をつかむ、持ちかえるなどの動作をするよ
うになる。ポリオや三種混合などの予防接種や、神経芽細胞腫の検査を受
けているかの確認・指導も行う。
主な健診の内容
身体計測と一般的な診察、精神運動発達状態の確認、顔布テスト 「仰向け
の赤ちゃんの顔に布を かぶせ手で取り払うかを見る検査」
*手で払いのければ問題ない。
・精密検査の適応
・未定頸の児、音が聞こえない児は精密検査が必要
9~10ヶ月健診
この時期には、周囲への関心をさかんに示すようになり、ハイハイをした
り、つかまり立ちができるようになる。
(ハイハイやつかまり立ちは個人差が大きく この時期になってもできない
子も多くいる)
主な健診の内容
身体計測や一般的な診察、精神運動発達状態の確認 パラシュート反応検
査
※うつ伏せの赤ちゃんを両脇から支えて持ち上げ、頭を前方へ落とすよう
にすると、 両方の上肢を伸ばし手を開いて着こうとする反応を見せる 。
難聴や斜視がないか
1才6ヶ月健診
この時期には転ばないで歩き、単語を話し、家の中で生活していた赤ちゃ
んが公園や外で遊ぶようになる
主な健診の内容
身長・体重・頭囲などの身体計測や内科的診察、転ばないで歩く、意味の
ある単語を話す、積み木が積める、などの観察を行う。
調節性内斜視、間歇性外斜視、軽度難聴などの観察。 離乳食完了の確認、
幼児食・栄養の説明、しつけの相談、事故防止、虫歯の予防などの確認を
行う
・ 精密検査の適応
・歩けない児、話せない児は精密検査が必要
集団健診と個別健診
乳幼児健診の実施方法は、「集団健診」と「個別健診」がある。
○集団健診
保健所・保健センター・健康福祉センターなどで、同月年齢の乳幼児を集
め、集団で健診を行うもの。
市町村から、決められた日時が通知される。 集団健診は、医師だけでなく
保健婦・栄養士・臨床心理士・歯科医師などが一緒に行うため、健診が総
合的に行えるというメリットがある。
○個別健診
各人で市町村が健診を委託した医療機関に受診日時を予約したうえで受診
する方法である。
日時は一般的に、自分の設定された候補日時のなかから選ぶ。
乳幼児健診の実施方法や実施回数は、各自治体によって違いがある。
3歳児健診
子どもが集団生活を行うのに必要な社会性や生活習慣、言語、運動などの
基本的発達が達成されているかを診る。
主な健診の内容
身長・体重などの身体計測、内科的診察の他に、精神運動発達、生活習
慣、言語発達、社会性の発達、視力・聴力テストなどが行われる。
・ 階段を足を交互にして一段ずつ昇り、 降りるときは一段ずつ足を揃え
て降りれるかどうか
・片足で数秒立てるか ・三輪車がこげるか ・低い所より飛び降りられる
か
・積み木で9個の塔が作れるか ・小さい物(小豆や大豆)を指先でつまめる
か
・日中オシッコがひとりでできるか ・まねて丸が書けるか ・こぼさない
でひとりで食事ができるか
・簡単な靴がはけるか ・歌をうたえるか ・「これなあに」とたずねるか
・文章を話せるか(3語文以上) ・ごっこ遊びをするか ・自分で年齢、
名前がわかるか
・何でも自分の思いどおりしたがるか、 ・親の言うことを聞くか ・赤、
青などの色がわかるか
・ 精密検査の適応
・言葉の遅れと難聴、視力障害の疑いは精密検査が必要