日大通信の国語科教育法Ⅰの合格レポートです。課題は「ジャンル別教材の指導例として、小説・評論・詩歌・古典の別にそれぞれ述べなさい」です。
本リポートではジャンル別教材の指導例を、小説・評論・詩歌・古典の別に考察し論ずる。
はじめに小説について、「走れメロス」を例に挙げて考える。
〈教材観〉本教材は、複数の登場人物の視座から多面的に作品を捉えることが出来、その心理描写や情景描写の表現の多彩さから学習者の想像力を豊かにするといえる。
〈指導例〉
(1)教員が朗読し、学習者は作品から受けた印象をメモする。(2)初読とは別の視座や、テクストの細部に注目をしながら再読し、初読との印象の違いや新たに発見した点をメモする。
(3)再読を経て作品の印象がどのように変わったかをまとめ、学習者同士で発表する。
〈留意点〉小説の学習では複数の視座を移り渡る経験が重要だ。これには学習者の「自己の残余」を照らし出す働きがある。
また、この作品は初読にて「友情と信頼の物語」と捉えやすいが、授業では小説の物語化ではなく、学習者が築いた物語を崩して再構築することが重要である。再読の際は、テクストの細部やメロス以外の視座に注目する必要がある。その中で新たな発見をした時、自らになじみの見方・考え方を「異化」し、学習者が今まで意識しなかった「自己の残余」に出...