佛教大学通信課程 日本文学概論レポート第二設題です。 2019年後期のシラバスで学習しました。
・論の展開の仕方、内容は非常によくできている。
・あらすじや大意は省いて、節題をつけるとより良い
と教授からコメントをいただきました。
参考にされる場合は、あらすじを省き、節題をつけ、自分なりの解釈を付け加えるとより良いレポートになると思います。
芥川龍之介の『鼻』を読み、出典と比較して論ぜよ。
芥川龍之介の『鼻』は、大正五年の第四次「新思潮」創刊号で発表され、夏目漱石から激
賞を受けた作品で、文壇への第一歩を踏み出すきっかけにもなった彼の代表作である。京
都書房の『21 新国語総合ガイド二訂版』(2003)には、夏目漱石から芥川龍之介宛てに送ら
れた書簡が掲載されている。その書簡には、「あなたのものは…自然其のままの可笑味がお
っとりと出ている所に上品な趣があります。それから材料が非常に新しいのが目につきま
す。文章が要領を得て能く整っています。」と書かれており、『鼻』について高く評価して
いることがうかがえる。『鼻』の題材として、『今昔物語集』巻第二八「池尾禅珍内供鼻語
第二〇」、『宇治拾遺物語』巻第二(七)「鼻長き僧の事」が挙げられるが、それらと比較し
ながら『鼻』という作品について述べていくことにする。
まず、『鼻』のあらすじを、テキストである坂井健編著の『日本文学概論』(2010)を参考に
しつつまとめる。
禅智内供という偉いお坊さんは、並大抵ではないほど長い鼻を持っている。その鼻は長さ
が五六尺寸もあり、元から...