中国書道史の科目最終試験です。A評価をいただきました。参考にしていただければと思います。
1.顔真卿の書に就いて
顔真卿は王羲之と並んで東アジア書史上、避けては通れない書家である。初唐の三大家(欧陽詢、虞世南、褚遂良)と並んで唐の四大家の一人とも称され、日本でも大変人気がある。本リポートでは顔真卿の人となりに言及したうえで、「書と思想 歴史上の人物から見る日中書法文化」(松宮貴之著 東方書店)を参考に、顔真卿の書について述べていく。
顔真卿は、琅邪臨沂(山東省)出身で唐代中期の政治家であり、書家である。代々学者、能書家を輩出した名家の出で,幼い頃より書を能くし、博学で文才があった。安禄山の乱で活躍し、唐朝に尽力したが、生来の剛直な性格が災いし、敬遠され官界を転々とした。李希烈の謀反の際、諭しに出向くが逆に捕えられ、拘留ののち縊殺される。彼の書は正当な書法によらない剛健勇壮な書風で、陽剛の人間性を重んじる革新的な書は、後世に多大な影響を与え、日本も例外ではなかった。また顔真卿は中央政府にいるときは頑固な忠義のひとである一方で、左遷され地方官となると、土地の名士や仏家、道家などと身分の隔てなく親しく交わり連句に興じるなど二面性を持つ。仏教や道教に興味を持ち、寺院や仙壇の古...