日本大学通信教育部
2019~2022年度 リポート課題集
19 世紀から 20 世紀の実存主義思想について,テキストの記述に沿ってまとめなさい。
キルケゴールは、実存主義の先駆者である。実存とは、真実の自分のあり方、
現実の自己として存在することを意味する。今までの哲学は、人間の普遍的な本
質を探求するものであったが、「自己にとっての真理」の探求を始めたことに、
実存主義の新しさがある。
キルケゴールは、人間が真の実存に到達するまでの道のりを三段階に分けた。
一つ目は美的実存であり、これは欲望のままに刹那的な快楽を求める段階である。
しかし、そのような毎日の繰り返しにもやがて飽きがきて退屈を感じるようにな
る。そうすると次は倫理的実存の段階に入り、社会や家庭の中で倫理的に貢献し
ようとするが、これもまた自分の道徳的不完全さに気付き、いずれ頭打ちになる。
最後に到達する段階は宗教的実存であり、自分の無力さや罪深さに絶望を感じた
者は、単独者として無限なる神と真剣に向き合う信仰の中で、実存を求めるとい
う。
世界は同じものが無意味に繰り返されるという永劫回帰など、斬新な思想で知
られるニーチェは、19 世紀のヨーロッパが虚無感に支配されていると警告した。
彼は、キリスト教は弱者を正当化して強者のたくましい自己肯定や勇敢さが否定
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