広告論研究発表原稿:IMCの時代的背景およびジンバブエ新聞のケース

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    資料紹介

    広告論研究のプレゼン資料になります。チームで発表しており、私の担当部分のみになります。評価はA+でした。

    資料の原本内容

    広告研究 プレゼンまとめ(IMCの時代的背景およびジンバブエ新聞のケース)
    IMC(Integrated Marketing Communication)提唱の時代的背景
    IMCには複数の定義があり定まっていない
     米国広告業協会(1989)「広告、ダイレクトマーケティング、セールスプロモーション、PRといったあらゆるコミュニケーション手法の戦略的な役割を活かして組み立てられた包括的コミュニケーション計画の付加価値を認め、かつこれらの手法を合体することにより、明確で一貫性があり、最大効果を生むコミュニケーションを創造すること」
     シュルツ(1993)「消費者とブランドや企業とのすべての接点をメッセージ伝達のチャネルと考え、ターゲットの購買行動に直接影響を与えることを目的とする。消費者から出発し、あらゆる手段を駆使して、説得力あるコミュニケーションを実践するプロセスである」
     ダンカン(1996)「ブランド・コミュニケーションにおける戦略的一貫性を維持し、顧客やほかのステークホルダーとの対話を促進し、ブランドへの信頼を増加させるコーポレート・ミッションのマーケティングを行うために、組織成員と組織学習を一体化させることにより、利益を生み出すブランド・リレーションシップを機能横断的に管理する過程である」
     キッチン&シュルツ(2000)「消費者、顧客、潜在顧客、従業員、同僚およびその他の社内外の関係対象者を対象に目的を持ち、測定が可能で、説得力あるブランドコミュニケーションを企画、展開、実行、評価する戦略的ビジネスプロセスである」
     ダンカン(2002)「IMCとは、ブランド価値を促進する顧客価値を管理するための過程であり、より具体的にいえば顧客や他のステークホルダーに対するメッセージを戦略的にコントロールし、彼らとの間に有利な関係を構築するための相互機能的な過程である」
     以上のように、IMCには統一された定義が存在しないのが現状である。
    IMCはアメリカで生まれた

     1980年代後半のアメリカの経済低迷を受けて、多くの企業は広告費を削減したかった。広告主の多くは、マスメディアへの投資から、SPへとシフトしていった。これは、短期的に効果があらわれ、測定もしやすいからである。しかしながら、当時の米国の広告会社は、マスメディアとの取引が主体であり、SPには弱かった。そこで、SPを含めた総合サービスを展開するようになった。これによって、マーケティングの機能的統合が進んだといえよう。また、M&Aの増加により、ブランドの重要性が認識されるようになった。そこで、ブランド構築のためのIMCの議論が活発化した。信頼を得るコミュニケーションの実現には、一貫性のあるコミュニケーションが大切だと考えられた。ワンルック・ワンボイスの重要性が増したといえる。
    日本におけるIMCの認識

     日本では、IMCという言葉を使用していると答えた広告会社は、37%に過ぎなかった。残りの6割ほどが使用していない。ただし、IMCと呼んでいないだけで、IMCと同様の活動をしている可能性もある。
    日本におけるIMCの議論

    日本では、昔から広告を広い概念でとらえており、口コミや人的販売といったSPもコミュニケーションとして実践してきた。これらは包括的なコミュニケーションであり、IMCは新しい概念ではないという批判がある。その一方、日本の広告会社の消費者重視は見かけだけで、媒体社を相手に取引を行ってきた。媒体社を重視するために、発信者手動のコミュニケーションがなされ、新しくIMCが必要であるとする肯定的な意見もある。
    ケース ジンバブエ新聞
    ジンバブエとは

    ジンバブエは、アフリカ南部の共和制国家であり、首都はハラレであり。アフリカ大陸の内陸部に位置し、モザンビーク、ザンビア、ボツワナ、南アフリカ共和国に隣接している。人口約1400万人、GDP約1兆2千億円の国家で、大統領はロバート・ムガベである。
    ジンバブエの歴史

     19世紀後半に、イギリス南アフリカ会社によって征服される。第1次大戦後には、イギリス植民地に組み込まれ、イギリス領南ローデシアとなった。国土のほとんどは白人のものであり、黒人は著しく自由が制限されていた。第2次大戦後は、独立運動が盛んになり、支配者層の白人たちが独立を宣言、ローデシアが成立した。しかしながら、人種差別政策を推し進めたため、黒人との間にローデシア紛争が起きた。内戦を経て、1980年の総選挙の結果、ジンバブエ共和国が成立した。このとき、ムガベは、初代首相となったが、のちに大統領制に改め、自らが大統領となった。
    裁者ムガベとハイパーインフレ

     ムガベは、2000年までは、人種融和政策を進めており、海外からも評価されていた。しかしながら、2000年に、黒人優遇政策を始めた。白人の農場を強制徴収し、黒人に再分配する「ファスト・トラック」が開始された。これは、コンゴ出兵の批判をかわすためだともいわれ、国際的な批判を受ける。この結果、白人農場主がもっていた技術が失われ、食糧危機や、第二次大戦後最悪と呼ばれるほどのインフレーションがおきた。こうした経済混乱に、ムガベへの不満は高まったが、言論統制などで弾圧された。インフレーションは、激しくハイパーインフレーションともいわれる。2008年7月17日、インフレ率220万%に達したと報じた。8月、6月のインフレ率は1120万%に達したと報じられた。しかし実際のインフレ率は4000万%で、7月のインフレ率は3億%、8月は6億%だろうといわれている。10月、7月のインフレ率は2億3100万%だったと報じられた。11月、非公式ながらインフレ率は年率換算で897垓%に達していると報じられた 。2009年1月、非公式ながらインフレ率は年率6.5×10108。結果、価値を失い2009年4月12日をもって発行が停止された。ジンバブエ新聞の一兆ドルキャンペーンは、2009年3月からなため、紙幣が価値を失う直前の、いちばんインフレーションが激しかったときだったといえる。
    ジンバブエ新聞

     1999年に、ムガンバ(Wilf Mbanga)によって設立された新聞社で、当初の名前は、The Daily Newsだった。ムガンバが反政府活動によって逮捕される前の3年間発刊された。彼が有罪判決を受けると、The Daily Newsは発禁になった。彼は脅し受け、ヨーロッパにいった。しかし、彼は諦めず位、ロンドンで編集し、ジンバブエ国境付近の南アフリカで印刷することにした。5年の活動の結果、ジンバブエ新聞(The Zimbabwean)は、日に15万部を売るようになった。そのほとんどは、ジンバブエと輸出されている。しかしながら、2008年の6月に、ジンバブエ政府に「ぜいたく品」に指定され、55%ものが課税された。その結果、部数は3万部まで急減した。ジンバブエ新聞は、部数を上げるための方策が必要とされた。マーケティングをしようにも、費用は100万円もない。そこで、TBWAに協力を依頼し、低コストのキャンペーン「一兆ドルキャンペーン(The Trillion Dollar Campaign)」を開始した。
    2.5 一兆ドルキャンペーン

     2009年3月から「一兆ドルキャンペーン」が始まった。このキャンペーンには4つのスローガンがある。
    ・Fight The Regime That has Crippled A Country(独裁者を倒せ)
    ・It’s Cheaper To Print This On Money Than Paper(紙よりも印刷代が安い)
    ・Z$250,000,000 Cannot Buy The Paper To Print This Poster On(2億5千万ジンバブエドルでも、このポスターの紙は買えない)
    ・Thanks to Mugabe This Money Is Wallpaper.(ムガベのおかげで、紙幣の壁紙ができた)

     
    キャンペーンの成果

     キャンペーン開始後数時間で、プレスの取材を受け、2日後には南アフリカのテレビやラジオで報道される。インターネットで世界に広がり、WEBニュースで取り上げられる。タイムズ誌やガーディアン誌にも掲載された。ウェブサイトの閲覧数は、2百万以上で、画像サイトFlickrでは、20万回も見られた。2カ月後には、部数の増加率は276%を超えた。

    ジンバブエ政府も態度を変え、「ぜいたく品税」もなくなった。また、数々の賞も受賞している。Golds at The Art Directors Club Awards。the ANDY Awards。Loerie Awards。Grand Prix in the Outdoor category of the 2009 Cannes Lions International Advertising Festivalなどである。
    参考文献(省略)

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