レポート評価Sを獲得した慶應通信経済政策学の代替レポートです。囚人のジレンマとリカードの等価定理を説明する内容となっています。
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囚人のジレンマは、個人的に合理的な意思決定が寄せ詰められた結果、集団的に非合理的な帰結に陥る社会的状況を表す(鳥居と日髙、2020年)。しばしば個人の合理的行為や合理的な協調行動が必ずしも最適均衡をもたらさないという例を挙げる際に用いられるが、公共財のように非排除性があるサービスの提供で発生した場合、対価を支払わずに便益を享受する人を発生させるフリーライダー問題を引き起こすと言われている。本レポートでは、数値例を用いつつ、公共財の観点から、囚人のジレンマについて解説する。
囚人のジレンマが起きやすい例には、養殖ウナギがある。海で獲ってきた稚魚(シラス)を養殖場で育てる養殖ウナギは、割り当てという形で資源の再分配を図っているものの、一部漁師が自粛を破り、たくさん稚魚を獲るという抜け駆けが後を絶たないことから、不漁が問題化している(構造計画研究所)。一方で、乱獲をする漁師を対象にした罰則が弱いために、抜け駆け行為が支配的戦略となり、恒常的な囚人のジレンマ状態に陥っているのである。これを踏まえ、山本(2016年)を例に、囚人のジレンマの数値例を考える。
今回は、漁師という個人で...