【2021年度】慶應経済通信教育課程で合格をいただいた財政論のレポートです。初回合格となりました。
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政府の経済活動にまつわる様々な現象を、資金の出入りという観点から捉える財政。1990年代のバブル崩壊後、景気浮揚を目的とした国債発行が相次ぎ、国家財政の逼迫化が危惧されて久しい。
そうした中、政府の財政を歴史や制度、規模など多面的理解を深めることは、経済学の学習プロセスで欠かせない要素である。そこで、本レポートでは、問いに答える形で、財政学的アプローチから日本の社会保障制度と政府債務への理解を深めることを狙いとする。
問1(1)
後期高齢者医療制度は、75歳以上の人が個人単位で加入する公的医療保険である。既存の健康保険から独立した制度として、2008年度から運用が始まった。2021年度予算案ベースで、約1870万人が加入し、16.6兆円で運営されている。
後期高齢者医療制度の運営を担うのは、市町村と都道府県ごとに設置ごとに運営された後期高齢者医療広域連合である。広域連合を構成する組織のうち、市町村は後期高齢者特別会計を設置して保険料の徴収と賦課を担う一方、広域連合が財政運営と保険給付の支出を担う仕組みになっている(佐々木、2019年)。
患者負担が1割の後期高齢者医療制度...