京都芸術大学学芸員養成課程の「博物館概論」において作成したレポートです。
「運営母体の異なる2つの博物館を実際に見学・調査したうえで、その知見を踏まえて、これからの日本の博物館が目指すべきところについて論じてください。」という出題のもと、作成しています。
学芸員は国家資格であり、博物館概論で取り扱う内容は各大学共通していますので、他大の方の参考にもなるかと思います。
博物館概論 レポート課題
運営母体の異なる2つの博物館を実際に見学・調査したうえで、その知見を踏まえて、これからの日本の博物館が目指すべきところについて論じてください。
「歴史博物館は誰が担うべきか」
はじめに
日本の博物館の現状について、「令和元年度日本の博物館総合調査報告書」によると、日本の博物館の半数近く(47.9%)が「歴史博物館」となっている。歴史博物館を設置者別に見てみると、国立館が2%、公立館が74.2%、私立館が23.8%となっており、その大半が公立館であることがわかる。これは、1970年から、文化庁により地方公共団体による歴史民俗資料館の建設が推進されたことが背景として存在し、日本の博物館として特徴的な傾向である。
そのような状況にあって、東京都国立市に所在する「たましん歴史・美術館」は公益財団法人によって運営されている歴史博物館となっている。本稿では、「たましん歴史・美術館」と同じく国立市に所在する公立博物館である「くにたち郷土文化館」について比較検討することで、日本の博物館の半数近くを占める歴史博物館、ひいては博物館全体の課題やそれを解決するための方法につい...