容量分析(標準溶液による酸塩基滴定)

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    資料紹介

    1.目的
     容量分析とは、試料中に含まれている目的の成分と定量的に反応する濃度既知の試薬溶液を加え、反応が終結するまで消費した試薬溶液の体積から目的成分の含有量を求める分析方法である。前回までは化学反応に基づいた無機・有機化合物の定性分析を行なってきた。この定性分析の次の段階の目的はそれらを定量分析することである。今回の実験では、定量分析の最も基本である容量分析の1つ;酸塩基滴定の手法の習得を目的とする。
    理論
     滴定とは一定量の試料溶液に、濃度が既知の溶液をビュレットと呼ばれるガラス器具から滴下して反応させ、反応完了点までに要した体積から試料溶液中の対象成分の量を求める方法である。滴定にはビュレット、コニカルビーカー、一定体積を分取するホールピペットなどの器具が使われる。ビュレットとホールピペットはメニスカスで目盛りを読む。また、中に入れる溶液で共洗いして使用する。コニカルビーカーはそのまま使用しても中に入れる溶質量が変わらないためこの操作は不要である。酸塩基反応を利用した滴定を中和滴定、酸と塩基が過不足なく反応した点を中和点とよぶ。この前後は酸や塩基が余っているため、pHが大きく変化する。滴下量とpHの変化を表した曲線を滴定曲線という。中和点を知るには、特定のpHの範囲で変色する有機化合物を指示薬に用いる。指示薬は入れすぎると誤差が大きくなるので少量用いることが重要である。本実験で用いるPP溶液は弱塩基性側に変色域をもつ。中和点では、C[mol/L]のn価の酸v[mL]を中和するのに、C^'[mol/L]のm価の塩基v^'[mL]が必要なら、次式(1)が成立する。
    Cvn=C^'v^'m (1)
    容量分析で使用されるモル濃度(体積1Lの溶液中に溶けている溶質の物質量molで表す濃度)が正確に知られた試薬溶液を標準溶液という。これを標定する際に使用する基準試薬を一次標準試薬という。入手しやすく、組成変化がなく、精製しやすいもの、空気中で秤量でき、潮解、風解など影響がないもの、価数に対する分子量または式量が比較的大きくて秤量誤差の影響が少ないもの、標定される物質との反応が既知で反応が速いものが求められる。一次標準試薬の一定量を正確に秤量し、一定温度、体積に調製した溶液を一次標準溶液、これを用いて、二次的に濃度を定めたものを二次標準溶液という。液体試薬水溶液の調製方法は試薬の質量百分率濃度と密度から試薬自体の濃度を求め、採取すべき試薬体積を算出する。一次標準試薬の計算重量と秤量についても同様に行う。実験には誤差がつきものである。真の値と実験値の差をファクターfといい、次式で求めることができる。
    ファクターf
    f=実際の秤量/理論秤量 (2)
    実験の測定結果を簡潔かつ合理的に表現するため、
    平均値
    x̅=(x_1+x_2+⋯+x_n)/n=1/nΣx_i (3)
    標準偏差(データの散らばりの度合い)
    s=√(1/n∑_(i=1)^n▒(x_i-x̅)^2)=√((∑(x_i-x̅)^2)/((n-1))) (4)
    変動係数(標準偏差を平均値に対する百分率で表したもの)
    ν=s/x̅×100(5)
    などを算出して統計的処理を行うとよい。

    タグ

    実験化学滴定分析標準科学大学イオン

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    実験化学容量分析

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    『標準溶液による酸塩基滴定』
    目的
     容量分析とは、試料中に含まれている目的の成分と定量的に反応する濃度既知の試薬溶液を加え、反応が終結するまで消費した試薬溶液の体積から目的成分の含有量を求める分析方法である。前回までは化学反応に基づいた無機・有機化合物の定性分析を行なってきた。この定性分析の次の段階の目的はそれらを定量分析することである。今回の実験では、定量分析の最も基本である容量分析の1つ;酸塩基滴定の手法の習得を目的とする。
    理論
     滴定とは一定量の試料溶液に、濃度が既知の溶液をビュレットと呼ばれるガラス器具から滴下して反応させ、反応完了点までに要した体積から試料溶液中の対象成分の量を求める方法である。滴定にはビュレット、コニカルビーカー、一定体積を分取するホールピペットなどの器具が使われる。ビュレットとホールピペットはメニスカスで目盛りを読む。また、中に入れる溶液で共洗いして使用する。コニカルビーカーはそのまま使用しても中に入れる溶質量が変わらないためこの操作は不要である。酸塩基反応を利用した滴定を中和滴定、酸と塩基が過不足なく反応した点を中和点とよぶ。この前後は酸や塩基が余っ...

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